「原油暴落」が来年の株式市場を暗示している 日本株はドル高が終わるとどうなるのか

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だが2000年のITバブル崩壊後、低金利が続き投資リターンが低下したことに伴い、投資家の資金はそれまであまり投資対象となっていなかった、コモディティに流入することとなったのだ。

コモディティが金融商品化し、新たな投資家を呼び込んだところまではまだ良かった。だが、その巨額の資金流入によって、コモディティ価格は需給バランスから見て明らかに割高な水準にまで押し上げられた。そして結果的に2008年の暴落を引き起こしたのである。

ところが、2009年に入ると、中国が「コモディティ価格の水準は割安になった」とみて、国家戦略備蓄の積み増しを目的にコモディティを買い上げ、コモディティ価格は再び急伸することになる。原油価格も再び100ドルを回復するに至った。

また2010年以降は欧州債務危機を背景に、投資家のリスク回避的な動きが顕著となったこともあり、投資資金は金にも向かい、2011年9月に金価格は1トロイオンス=1920ドルまで急上昇。しかし、ここがコモディティ価格のピークとなる。その後は需要の低迷やドル高を背景に下落基調を強め、現在の安値圏につながっている。

ついに減産に動き始めた中国

駆け足で見てきたが、このようにコモディティ価格は紆余曲折を経て現在に至っている。より長い歴史をみると、経済のサイクルや投資資金の動向で、コモディティ市場は大きなトレンドを描いてきたことがわかる。

本欄でも解説したことがあるが、世界の株価指数をコモディティで割ったレシオ(株価コモデティレシオ)はほぼ4年ごとにピークとボトムを繰り返している。

このレシオの直近のボトムは2011年9月だった。そこからすでに4年が経っており、現在は株価が高くコモディティ価格が低いため、レシオは高い値で張り付いている。つまり、このサイクルから言えば、筆者は、株式からコモディティへの「主役交代」がまさに近づいていると考えている。

これまでコモディティは需給の緩和状態とドル高で売り込まれてきた。だが、あまり目立っていないが、直近ではアルミや銅、亜鉛などで減産の動きが出始めている。特に世界最大の消費国で、重要な生産国でもある中国でもこの動きが起きていることの意味は極めて大きい。中国は過剰生産の調整に本格的に乗り出しており、これが徐々に価格に影響を与え始めるだろう。

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