郡山市のずさんな放射能汚染土砂処分の実態 子どもが遊ぶ公園にひそかに埋設
このような保管の方法で問題はないのか。郡山市の原子力災害対策直轄室の本田文男・防災計画推進担当(危機管理課長)は、「福島県と協議したうえで、現場保管に該当すると判断したので囲いや表示板は設けていない。現場保管に当たるので(地下水のモニタリングのための)井戸の設置の必要もないと考えている」と語る。
公園を管理する公園緑地課の椎根係長は「遮水シートを敷き詰めているので放射性物質の地下水への漏出は起こらないと思っている」などと、東洋経済記者の取材に答えている。
次に記者が県に問い合わせたところ、「(広範囲の除染作業で生じた土砂の埋設についても)環境省から現場保管の扱いでよいとの回答を得ている」(菅野信志・福島県除染対策課主幹)との説明があった。そこで環境省の福島環境再生事務所に尋ねたところ、「環境省本省とのやり取りを通じて現場保管の扱いでよいと県に答えた」と、当時の担当者(現在は別の部署に在籍)がやり取りの事実を認めた。
ただ、記者が環境省本省に問い合わせたところ、いつ誰がそのように答えたのかの記録はなく、福島環境再生事務所の担当者も本省とのやり取りの内容は、うろ覚えであることが明らかになった。
本省の湯浅翔・除染チーム主査は東洋経済の取材に「何でもありという考えは持っていない。ただ、郡山市での土砂埋設の実態については把握できていない」と語っている。
広範囲にわたる除染で発生した土砂や汚泥を埋めたにもかかわらず、除染した土砂や汚泥を発生場所で埋設する「現場保管」として扱っていいとすると、管理体制が際限なくルーズになるおそれがある。
というのも現場保管の場合、看板や囲いの設置、継続的な空間線量の測定や水質検査が環境省のガイドラインで免除されているためだ。管理の方法がずさんだった場合、放射性物質を含んだ汚泥が地下水に混入するなど、放射性物質が拡散する可能性もある。
環境省と県の間でいったいどのようなやり取りがあったのか。なぜ現場保管として認めたのか。開示された行政文書を元にたどってみる。