大王製紙の内紛、北越紀州製紙の仲介で収束へ、義理人情の恩返し劇

佐光正義・大王製紙社長は東洋経済の質問へ次のように答えた。
 
 「今回の合意に達する際、北越紀州製紙の岸本�夫社長からは、『2006年の王子製紙からの株式公開買い付けの際に安定株主となってくれた大王製紙には恩義を感じていた』と言われた」

つまり旧恩への報恩。北越紀州製紙は、06年に業界首位の王子製紙から敵対的な株式公開買い付け(TOB)を仕掛けられた際、業界2位の日本製紙グループ本社と、当時まだ創業家が実質的に采配していた大王製紙からホワイトナイトとして救いの手をさしのべられた。

後日に日本製紙からは保有株を引き取らされたが、大王製紙は現在も北越紀州製紙の株式を保有し続け、しかも「北越紀州製紙の経営へは口出ししなかった」(関係者)。かくて北越紀州製紙は、6年前に王子製紙から仕掛けられた業界再編の荒波から助けてくれた大王製紙へ今この時に恩を返すのである。

だから北越紀州製紙には、外野が大いに期待するほどには大王製紙の関連会社化をテコとした業界再編への青写真など、描きようがない。ただし北越紀州製紙も上場企業であるだけに、大王製紙株式を保有することの利点について、自社の株主が納得できるような協業などの展望を用意する必要はある。

そして、今回の3者合意の最大の受益者が大王製紙の現経営陣であることは確かである。

創業家が保有株式を北越紀州製紙へ譲渡して得た代金により、貸倒引当処理済みだった貸付金を回収できる。また、創業家株主を辞任や解嘱としたことにより前12年3月期中に連結子会社数は期初の37社から期末の19社へと約半減していたが、それが今回の創業家からのグループ企業株式の間接的譲受により、少なくとも37社へ復する。

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