【産業天気図・医薬品】薬価引き下げの合間の「晴れ間」。来期以降は極めて不透明

07年度後半は薬価引き下げがないため、大手を中心に業績は安定拡大基調で、増額可能性のある会社も数社出てきた。全般的な薬価抑制の影響を考えて前回の見通しは「曇り」としていたが、想定以上に増額企業が出てきたことから、天気予想も「晴れ」に変更する。一方で、08年度前半の空模様は反転し「雨」とみている。
 今期の好調組は、まずは国内トップであり、生活習慣病薬全般に強い武田薬品工業<4502>。国内は安定しているのに加え、海外、特に米国で糖尿病治療薬「アクトス」が瞬間的に大幅な伸びを見せているからだ。原因は、競合薬であるグラクソ・スミスクラインの「アバンディア」に5月、心筋梗塞リスクが持ち上がった影響で、瞬間的にシェア変動が起こったこと。さらには、慢性特発性便秘薬「アミティーザ」でも、やはり競合のノバルティス「ゼルノーム」が販売を中断した影響が当社にはプラスに働いている。当社自体は今期の業績予想を変えていないが、増額の可能性はある。
 2位以下を見ても、免疫抑制剤「プログラフ」が相変わらず好調なアステラス製薬<4503>、高血圧薬「オルメテック」がやはり好調な第一三共<4568>、認知症薬のエーザイ<4523>のは各社とも好調に第1四半期を終えており、通期業績達成へすでに「貯金」ができている状態。中堅でも、夏風邪流行や大規模臨床試験結果をテコに去痰剤「ムコダイン」が好調なキョーリン<4569>や、鎮痛消炎貼付剤「モーラス」が絶好調の久光製薬<4530>などは増額が濃厚な情勢だ。
 ただし、来年4月に控える薬価引き下げの切り下げ幅が気になるところだ。国は医療費削減方向に突き進んでおり、相応の切り下げを実施するとの見方もある。「頻回改定に踏み切る(=毎年薬価を引き下げる)」や、「新薬を重点評価する代わりに、特許失効後の薬価は思い切って下げる」などの議論が行われており、いずれにせよそれらが現実のものになれば、パイプライン(新薬候補)が乏しい中堅メーカー中心に業績面での大きな重しになる。再びの業界再編も起きよう。
【高橋 由里記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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