ベンツ、輸入車首位返り咲きへ周到な仕掛け コンパクトカー「Aクラス」で狙う客層は?

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2014年には年間販売台数6万台を突破し、今年は昨年を上回る勢いで推移している。15年間首位の座に君臨していたフォルクスワーゲン・グループ・ジャパン(VGJ)は排ガス不正問題もあって失速、MBJが首位に返り咲くのはほぼ確実だ。

「メルセデスAMG A45」は713万円から。Aクラスのラインナップにも幅がある

だが、MBJの上野金太郎社長は、「1位に傾注するよりも、年間6万台をどう維持していくのかが課題」と慎重な見方を示した。2016年は主力車種のフルモデルチェンジから時間が経ち、「モデルサイクルが厳しい」(上野社長)。今年のような勢いが続くかどうかは分からないのが現実だ。

新しく投入する車種の充実度によって、その年の新車販売台数は大きく左右される。安定して6万台の販売を維持していくためには、販売台数を下支えするような客層を育てておく必要がある。

ベンツからベンツへの乗り換え狙う

まずはAクラスのようなコンパクトカーで間口を広げ、Aクラスからベンツデビューした顧客が将来、乗り換えるときにCクラスやEクラスへとステップアップしていく。将来、「ベンツからベンツへ」と乗り換える客を育てるための種まきが始まっているのだ。

ベンツは、中古車として売る際に高価格で下取りしてもらえる点も強みだ。この売却資金を充てることで、次にワンランク上のベンツを買い替えるという好循環が生まれやすくなる。

はたして輸入車首位の座を不動のものにできるか。モデルサイクルが厳しい2016年以降こそ、ベンツの真価が問われることになる。

 

宮本 夏実 東洋経済 記者

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みやもと なつみ / Natsumi Miyamoto

自動車メーカー、部品会社を担当

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