「安定化」が課題の中国、世界経済の牽引役は返上

取り組みはこのところ着々と進められている。人民元レートの変動幅を0・5%から1%に広げたのに続き、6月1日から円と人民元の、ドルを介さない直接取引が始まった。さらに政策金利引き下げと同時に、金利の自由化も進められた。それまで認められていなかった預金金利への1割までの上乗せが金融機関に認められた。貸出金利も基準金利よりも2割まで下げてもよいことになった(従来は1割)。

2020年第3次金融危機?

田中特別研究員は、10年代後半のリスクを指摘する。「政府の管理が及ばなくなると、バブルの発生を防げないし、崩壊したときのショックも大きい。資本取引が自由化された中で中国のような巨大な国がバブルとその崩壊を引き起こせば、第3次世界金融危機となりかねない」。

日本は為替相場と金利を固定していた70年代前半までは、何とかマクロ政策で経済の制御ができていた。だが、変動相場制への移行、外為法大改正、金利の自由化の後、80年代後半にはバブルが制御できなくなり、その崩壊で大きな痛手を負ったままだ。

同じことが、中国で起きる懸念がある。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、「米国やスペインの例を見ると、生産労働人口がピークアウトした直後に、それまでに投資した資本装備も過剰となるため、バブル崩壊が起きやすい」と指摘する。

97年アジア通貨危機、10年ユーロ通貨危機、と考えると、20年は怖い予言である。中国にはむしろ過度な期待をすべきではない。

(大崎明子 =週刊東洋経済2012年6月23日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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