「IS掃討」で孤立から脱したロシアの落とし穴

欧米の弱さを突いたプーチンの戦略とは?

「地政学的に見て、プーチン氏は優れた戦術家だ。私は嫌いだが、好き嫌いは別にすれば『プーチン流政治』はかなりうまくいっている」と、かつて駐ロシア欧州連合(EU)大使を務めたマイケル・エマーソン氏は語った。

同氏によれば、プーチン氏がシリアで主導権を握ることで米国に不意打ちを食らわせたのはこれが2度目。プーチン氏は、軍事的敗北を喫する可能性からアサド政権を救い出し、自身をシリア問題のいかなる解決にも不可避のパートナーとさせた。

1度目は2013年8月、シリアが化学兵器を使用したことを受け、オバマ米大統領が「越えてはならない一線」を越えたとして空爆を検討していた際、プーチン大統領がオバマ大統領に外交的手段を取るよう説得したときだ。

空爆をしないという米国のこの決定は「外交的な大きな過ち」であり、同国の中東疲れを暗示していたと、デ・ホープ・スケッフェル元北大西洋条約機構(NATO)事務総長は指摘する。

欧米の弱さを利用

ロシアの大国としての地位を取り戻そうとするなか、欧米の弱さを感じ取り、それを利用するというプーチン氏の生まれ持った才能は、同氏の精力的な外交政策の特徴の1つだと言える。

「彼(プーチン氏)は政治的機会だけでなく、権力にも驚くほど鼻が利く」と、シンクタンク「欧州外交評議会(ECFR)」のディレクター、マーク・レナード氏は指摘。「ウクライナで身動きできなくなり、そこから抜け出す方法を見つけられないでいた。ロシアは当初、アサド政権が窮地に陥っているのでシリアへの介入を強化したが、そこへパリで事件が起き、驚くべき方針転換をしてみせた」。

米主導の対イスラム国空爆作戦では小さな役割しか担っていないフランスのオランド大統領は、シリアでの同組織掃討のためロシアを含む1つの連合を形成するよう訴えている。同大統領は26日、ロシアを訪問し、プーチン大統領と協力に向け会談を行う。

パリ同時攻撃とロシア旅客機墜落事件が起きる以前は、ロシアによる空爆の約90%が、西側の支援するシリア反体制派に対するもので、残りのわずか10%がイスラム国に対するものだったとフランスは考えていたと、前述の戦略研究財団のテルトレ氏は述べた。だが先週、その比率はほぼ逆転したという。

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