築77年「最古のRC公営団地」全国にわずか5棟、建物リノベでよみがえらせた長崎市「魚ん町+」

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こうした経歴を持つ伊東さんが「旧魚の町団地」の公募型プロポーザルに関わることになったのは、長崎県職員として働く後輩から情報を得たことがきっかけだった。

「やっぱり、地元の長崎に何か貢献したいという気持ちはずっとありました。博士課程でも長崎の斜面地についての研究は続けていましたし、長崎の街で研究だけでなく実践として形にできることをやりたいと思っていたんです」(伊東さん)

6人のチームを組み「ココトト合同会社」を立ち上げた

自身の心の原風景でもある長崎の街並みに深く関わるこのプロジェクトに、強い縁を感じた。別プロジェクトで縁のあった、同じ長崎市出身の一級建築士、田中伸明(たなか・のぶあき)さんらと6人のチームを組み、プロポーザルへと臨んだ。その若い力に可能性を見出されて活用事業者として選定を受け、「ココトト合同会社」を立ち上げた。

魚ん町+
田中さん(写真右)は、普段は千葉県を拠点に建築家として活躍。長崎在住のメンバーたちと協力しながら、運営を進めている(写真撮影/中川千代美)

今回のプロジェクトが始まるまで、長崎市の中心部に、こうした場所が残っていることを知らなかったという伊東さん。街を見渡せば、大規模な資本によるスクラップ・アンド・ビルドが繰り返され、景色が無造作に上書きされていく。

そんな中で昔の景色を今に伝えるこの場所を、「民間のプレイヤーによる小さな力が集まり、魅力的な場所が生まれる。その一つの事例にしていきたい」との思いを抱いたそう。

選定後には、団地活用の可能性を地域で考えるワークショップを複数回開催。地域の人をはじめ、この価値ある建物に興味を持つ人々が県内外から集まり、さまざまなアイデアを持ち寄った。

そうして、古い建物の歴史や物語を紡ぎ、長崎のヒト・モノ・コトをつなぐコミュニティ拠点として、「みんなの”やりたい“が集まるレトロ・ヴィレッジ」をコンセプトに、2025年4月より、「魚ん町+」の名での運用をスタートした。

魚ん町+
(写真撮影/中川千代美)
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