築77年「最古のRC公営団地」全国にわずか5棟、建物リノベでよみがえらせた長崎市「魚ん町+」
戦後復興期から長崎の人々の暮らしを支えてきた同団地だが、時代が進むにつれて老朽化が進行。2008年に新規入居の受け入れを停止し、2018年に最後の入居者が退去した後は、建物が使われないまま残されていた。
「外構の植栽も森のように荒れ、治安面の不安もあり、『負の遺産』のように受け止めていた近隣の方も多かったようです」(伊東さん)
一時は取り壊しも検討されたが、この団地が持つ歴史的価値から保存を望む声も多く上がった。耐震性にも問題がないという診断結果を受け、長崎県は県内初の県営団地再生プロジェクトとして公募型プロポーザルにより、「旧魚の町団地」の活用を担う民間事業者を募集。そこに手を挙げたのが、伊東さんが仲間と共に立ち上げたチームだった。
新たなコミュニティが生まれる場所を目指して
伊東さんは長崎市出身の一級建築士。小学6年生のとき、建築家・原広司氏が設計した個性的な住宅に住み始めたことが建築の原体験となり、東大進学後は同氏に師事した。「卒業設計のテーマは長崎の斜面住宅地。僕にとって長崎の街並みは原風景なんです」(伊東さん)
大学院時代はオランダの「MVRDV」へインターン留学。そこで得た「建築を考えるためにはその集合体である都市も同時に考えなければならない」という学びは、都市の文脈を読み解く「魚ん町+」の思想に通じている。
帰国時はシルクロードを自転車で横断した。「道」への関心から選んだ旅だった。「風景や生業が少しずつ変化し、無限に連なって一つの大きな道を形づくる。すべてが地続きであるという地球の大きさを実感しました」(伊東さん)


















