築77年「最古のRC公営団地」全国にわずか5棟、建物リノベでよみがえらせた長崎市「魚ん町+」

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「まだ運営は手探りな部分も多いですが、単なるテナントビルではない場所にしたい」と話すのは、「ココトト合同会社」代表社員の伊東優(いとう・ゆう)さん。

取材時には、長崎を舞台にした映画の公開記念イベントが開催され、パネル展やビル見学ツアーには多くの来場者が集まっていた。懐かしい景色を守りながら、新しい人の流れを生み出す場として、少しずつ存在感を高めている。

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イベント開催時には、運営として団地内を駆け回る伊東さん(写真撮影/中川千代美)

ここ「旧魚の町団地」は1948年(昭和23年)に設計され、翌1949年(昭和24年)に竣工した。原爆によって住宅戸数が減少し、戦後、疎開先から戻ったり戦地から引き揚げてきたりした人々の増加で住宅難に陥った長崎市において、市民へ速やかに良質な住宅を供給するための公営住宅として建てられたものだ。

全国でわずか5棟のみの「48型」

「48型」と呼ばれる設計の鉄筋コンクリート造の公営団地は全国各地に建設されたが、現在も当時の姿を残すのは全国でわずか5棟のみ。それ以前の事例は現存しておらず、鉄筋コンクリート建築としても日本最古級の貴重な存在といえる。

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窓の手すりもノスタルジーを感じられる。ちなみに、建物の左右の出っ張り部分は、風呂を外付けで増築された箇所(写真撮影/中川千代美)
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昔ながらの重い鉄の扉もそのまま残されている(写真撮影/中川千代美)

同ビルのギャラリーに掲示されている資料によると、当時は、近隣にあったもう1棟の団地と合わせ、応募者が殺到するほどの人気を集めていたという。なお、長崎市出身のノーベル文学賞作家カズオ・イシグロ氏も、幼少期をこの時期に建てられた公営団地の近くで過ごしていたとされており、作品の中には団地の風景が描かれているともいわれている。

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1950年代の部屋を再現した部屋(写真撮影/中川千代美)
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