「中国に特化してた店はしんどいと思う」…《インバウンド9割》変化続ける黒門市場で老舗マグロ店が生き残る訳

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ただし通販の売り上げは、まだ全体の1割にも満たない。伸ばすには、もう一手が必要だった。

魚丸商店のホームページに掲載されている、丸山さんが執筆したコラムの一部(魚丸商店ホームページより)

趣味のバスケからつながったブレーンチーム

次なる転機は2015年、ホームページ改良のアイデアに行き詰まった頃に訪れた。

丸山さんは高校時代からバスケットボールを続けている。手を怪我した時期を除き、週1回の練習を40年間も……。そのバスケ仲間が、「エアーコーディネーター」を名乗る河合義徳さんを紹介してくれた。

「エアーコーディネーター」とは聞き慣れない肩書きだが、いわば、マーケティング的観点から事業に伴走してくれる人だという。丸山さんは河合氏の考え方をこう語る。

「売り上げがどうこうとか、ただ単に商品を売るだけでなく、お客さんが何を求めているか、その商品がもたらす背景とか幸せや、物語を伝える思考法なんですよ」

その考えに則り、まずホームページの方針を変えた。以前はSEO対策、つまり検索ワードで上位に表示されることを重視していたが、今は違う。

「検索ワードよりも、店のポリシーちゃいます? 顔が見えるホームページを目指してます」

実際、魚丸のホームページには、丸山さん自身が顔を出して語るコンテンツが多い。マグロの種類や歴史、部位ごとの食べ方を写真つきで解説するコーナーもある。商品だけでなく「誰が売っているか」を見せる方向に舵を切ったのだ。

加えて、インスタグラムで広告も打ち始めた。面白いのはターゲットの選び方だ。地元大阪には出さない。狙っているのは、西日本のなかでもマグロの流通が弱い地域。四国や、兵庫県の山間部だ。

「新鮮なマグロが手に入りにくい、流通が弱いところを狙い撃ちにしてるんですよ」

そう言ってふふふ、と笑う。季節ごとに、「秋冬マグロ」の訴求や、BtoB向けの宣伝など、3種類ほどの広告を走らせているという。

広告からホームページに飛ぶと、個人向けの通販注文、BtoBの卸売問い合わせ、さらにはギフト用の目録セットまで、目的別にボタンが並ぶ。失礼ながら、間口約7mのマグロ屋とは思えない導線設計に唸らされた。

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