アシックスはロンドン五輪向けに、競泳、陸上に続きレスリングも公式ウエア提供
ロンドン五輪(7月27日~8月12日)の開幕まで1カ月余り。スポーツウエア・用品メーカーの動きも活発化している。
スポーツウエア・用品の総合メーカー大手、アシックスは6月17日、レスリング日本代表選手が使用する試合用ウエアとシューズを提供すると発表した。今回、アシックスが提供するウエアとシューズは、日本レスリング協会とのオフィシャルサプライヤー契約に基づくもの。文部科学省のチーム「ニッポン」マルチサポート事業の支援を受け、筑波大学との共同研究で、実際の選手の声も取り入れつつ共同開発されたという。
試合用ウエアについては、胸部に大きな虎の顔をプリントされている。同じくアシックスがウエアを提供したアテネ五輪(2004年)では不動明王、北京五輪(08年)では昇り龍の文様を採用。今回は、「日本レスリング協会から、何か強さの象徴となるものをデザインにと要望があった。アジアで最強、最速の生き物として、虎に決めた」(アシックスの木村光宏・プロダクトマーケティング統括部部長)という。機能面でも、タックル動作における体の沈み込みやダッシュなど、レスリング特有の動きを分析し、体幹部と大腿部の着圧を高める構造にした点などが大きなポイントとなっている。
試合用シューズについても、ウエアと同じように虎のシマ模様を想起させるデザインを採用。さまざまな方向に高いグリップ性を発揮する靴底構造とし、寝技の時にもグリップ力を発揮できるようにしている。
アシックスがロンドン五輪向けに公式に提供するウエア・用品類としては、1月8日に発表した日本選手団が選手村内や移動の際に使う公式スポーツウエア&バッグ、4月9日に発表した競泳日本代表選手向け競泳用水着(アシックスのほか、ミズノ、デサントも提供)、6月11日に発表した陸上競技日本代表選手用の公式ウエアがある。デザイン等は未発表だが、トライアスロン日本代表選手用ウエアも近々公表予定と見られる。一方で、アシックスがオフィシャルサプライヤーとなったにもかかわらず、男子バレーボール、ハンドボールのように日本チームが予選で敗退するなどしてロンドン五輪に出られなくなっている種目もいくつかある。
スポーツウエア・用品各社がオフィシャルサプライヤーとなっている競技の中には、今回のレスリングのように、学校などの授業で取り上げられることも少なく、競技人口が限られる種目も多々含まれる。ウエアやシューズを着用した選手が優勝したからといって、そこで使われたのと同種のウエアやシューズが爆発的に売れるということもない。
ただ、着用選手が活躍すれば、仮にそれが日本選手でなかったとしても、あるいはマイナー競技であったとしても、ブランドの露出効果は大きく、機能性への評価も高まることが期待できそうだ。選手へのサポート、全世界の拠点からロンドンへの社員派遣、あるいは各種の広告宣伝なども含めて、スポーツウエア・用品各社の暑い夏が、ロンドン五輪終了までは続きそうだ。
写真はレスリング日本代表の試合用ウエアを着用した、湯元健一選手(左)、吉田沙保里選手(右)
(大滝 俊一 =東洋経済オンライン)
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