「農家への恩返し」農機で国内トップのクボタがコメ輸出を開始
「これからは(農業関係者への)ご恩返しも考えていかなければ」(クボタ役員)。
クボタが国内の主要産地と組んでコメの輸出を始めた。これに向け昨年10月、香港に日本からの輸入精米販売会社、久保田米業を設立。この4月には営業権を取得し、6月から一般向けネット販売も本格化させている。建屋などに4500万円を投じ、工場には冷蔵倉庫のほか、クボタ製の最新鋭業務用精米機も備えている。
おコメは生き物。精米した瞬間から味の劣化が始まる。そこで日本で集荷したおコメを玄米のまま香港に出荷し、冷蔵倉庫で保管。顧客からの注文に合わせ、精米して客先へ届ける。日本米の品質をいかに落とさず客先に届けるか、クボタのこだわり、配慮がここに現れる。
それだけではなく、香港では食味値や不良米混入率を測定することで品質の安定化を図り、放射能濃度も測定し安全性を訴求することも怠らない。さらに精米時点で、生産者までたどることができるよう、履歴管理も行う。久保田米業のホームページには、コメ生産者と作付面積まで掲載されている。
国内でのコメの集荷は新潟農商という孫会社が担う。これまでは新潟県のコメを集荷し、国内で販売していたが、この販売先に香港が加わるイメージだ。このため生産者は当面は新潟近県が中心となるようだが、産地は順次、拡大していく予定だ。
また、販売先は香港資本など外資を含めた日本食レストラン向けが主となるもよう。初年度となる今秋には200トンの日本米を集荷、香港に出荷する計画だ。
その一方で、将来的にはニーズを探りつつ、富裕層を含めた一般消費者に向けて広く販売先も開拓し、3年後には年500トンの販売を目指す。