【キーマンズ・インタビュー】驚異の定着率を誇るアサヒビール--林雅子・人事部キャリア開発・ダイバーシティ推進担当部長に聞く
--年間離職率0.9%は信じられないほど低い数字です。こんな数字になっている理由は制度でしょうか?
制度も関係しているかもしれないが、社員の気質や社風の影響が大きいだろう。もともとアサヒビールを志望する学生は、お酒を飲むことと話すことが好きな人がほとんどだ。そしてしょっちゅう社内の仲間とコミュニケーションしている。
会社が好きでたまらないという愛社精神も強い。そもそも辞める社員がいないので、辞めるという発想自体を持たないのかもしれない。
--グローバル人材育成策についてお聞きします。具体的なプログラムを教えてください。
国内業務で育った社員をグローバル化するために、2010年からGCP(Global Challenges Program)をスタートさせた。これは1回に10名程度の社員を公募して、アジア、インドなどに半年間派遣するもので、現地のマーケットリサーチを行うプログラムだ。
2010年、2011年と2回実施し、約20名が半年間の海外体験で育っている。帰国後に経営層にプレゼンするが、半年間の経験で顔つきが変わっている。GCP経験社員はほぼ国際業務に就いてもらっている。
--海外の異文化を知ることや語学もグローバル化に欠かせないと思います。施策をお聞かせください。
2つある。1つは語学力のテスト。2010年度からCASECという英語のWebテストを導入、実施している。プロデューサーは全員、一般社員は希望者に対しテストしている。一般社員がプロデューサーになる際にもCASECの受験は必須だ。ただし何点以上という基準を設けているわけではなく、英語力のレベルを知るために導入している。
もう一つは国際塾だ。人事にロビンというオーストラリア人がおり、講師を務めている。希望者が10人以上集まったら、全国各地に出向く出前の授業だ。話の内容は、ビジネスマナーや文化の違い、語学勉強の仕方と多岐にわたっている。国際塾は2010年6月に開講し、これまでの2年間で受講者は2000人以上。アサヒビールの社員数は3500人だから、半数以上が受講した計算になる。
林 雅子
人事部キャリア開発・ダイバーシティ推進担当部長。1967年生まれ。1991年お茶ノ水大学家政学部卒、アサヒビール入社。1998年9月東京支社業務部配属、2003年9月アサヒフィールドマーケティング出向、2008年9月人事部キャリア開発・女性活躍推進担当部長、2010年4月人事部キャリア開発・ダイバーシティ推進担当部長、現在に至る。
(聞き手:HR総合調査研究所(HRプロ)ライター:佃光博=東洋経済HRオンライン)
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