いきなり!ステーキ社長激白「500店超→約170店」転落の顛末 復活をかけた「新店舗」に行ってみたら… 着席スタイルの理由、値上げの背景は?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さて、神田北口の新店舗の話に戻る。

「次世代型」と名付けたこの新店舗のデザインにあたり、一瀬氏がこだわったのが「ゆったりと食事を楽しめること」「非日常感」だった。

「15年から着席スタイルへと切り替えてきたが、立食用のハイカウンターに高いスツールを合わせて無理に着席にしているところもある。これだと、お年寄りやお子様などが座りにくく、家族がゆったりと食事を楽しめない」

次世代型店舗では、1人で食事できるカウンター席のほか、テーブル席、ボックス席と3種類を用意し、さまざまなシーンに対応可能とした。

値上げをしているが客単価は変わっていない

「値上げをさせていただいているが、実は客単価は変わっていない。どういうことかというと、昔は300g食べられていたところ、今は200〜230gに減ってきている。お客様から見ると、量を抑えることで価格を抑えている。そこまでして来ていただけるお客様に対し、空間やサービスの質で体験価値を上げていく必要がある」

神田北口店
神田北口店(筆者撮影)

神田北口店オープンから1カ月の状況を聞いたところ、肉マイレージの上位の客など、常連が訪れるほか、需要を見込んでいたランチ客は好調。ただ、ゆったりできる空間のためか、ランチの激戦区である神田にしては回転率は高くない。当初、需要があるか心配されたディナータイムや土日についても、仲間や家族などの団体客が入るとのことだ。

客単価については、ランチは2200円程度で他の店と変わらないが、ディナーは他の店が2500円程度のところ3000円程度と高めだ。

「利用動機が多様化している。アルコールも通常店より出数が多く、例えばフルボトルのワインは開店1カ月余りで25本出た。同じ路面店で比べると、他の店は平均して7本程度だ。そのためワインの種類も増やしたし、500g以上のヒレステーキもメニューに加えた。写真を撮りたくなるよう、グラム数を書いた旗もサービスでおつけしている」

(筆者撮影)

次世代店ではその他、いきなり!ステーキの大きな特徴であった「桜島の溶岩」を仕込んだチャコールブロイラーから、スチームコンベクションオーブンによる調理に切り替えた。これにより品質の安定と従業員教育の簡易化、人材リソースを顧客サービスに当てるなどの改善を図れたという。

「焼き台は場所によって温度が異なるため、焼き時間の調整などに職人の技術を必要とした。結果として店舗によるばらつきが出て、『この店はシェフの焼き方がうまい』など口コミで書かれてしまうこともあった」

いきなり!ステーキではブランドのはじめから、厚切りの肉を提供することにこだわってきた。スチームコンベクションオーブンを導入することで、熟練の職人でなくても、厚切りの肉を最適な焼き加減で焼成できるという。

一瀬氏は今回の新店舗オープンに、「ブランド変革」の意図を込めているそうだ。従来の立ち食いのイメージから大きく変わるということだ。

「新しい屋号にしては、という声もあった。しかし、あくまで『いきなり』としてやりたいと考えた。当社にとっての稼ぎ頭でもあり、171店の業績もいい状態だ。お客様をはじめ世の中から『元気がない』と見られてきたが、そこからの復活と、ブランドにとっての第2章の幕開けという意図を込めている」と意気込んでいる。

2月13日には中期経営計画を新たに公表。26~29年の4年で54店舗の出店計画を発表した。帰ってきた「いきなり!ステーキ」の今後に注目される。

圓岡 志麻 フリーライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事