「なぜ日本では、伝統工芸とユニクロが自然に並ぶの?」─フランス人陶芸家が気づいた日本の"混在力"の凄さ

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リビングの様子。写真右の鏡はイタリア・ヴェネツィアで、天井から下がっているライトは、北東フランス・ランスで出会ったアール・ヌーヴォーのアンティークだ(写真:筆者撮影)

「僕たちはいつも模様替えをしているので、今のインテリアはこんな感じ。でももし来月来たら、きっと全然違う雰囲気になっていますよ」とアントニーさんは言う。

2人にとって、暮らしとは固定されたものではなく、常に楽しみながら進化し、その時々の気分に寄り添うように編集されるものなのだ。

お気に入りは「鱗のような釉薬が美しい黒いお皿」

部屋の一角にあるオープン棚には陶芸作品が陳列されていた。この棚に並ぶコレクションは実際に会った作家の作品で、日本の陶芸家の作品も混ざっている。

実際に会った作家の陶芸作品を飾る棚。一つひとつの器のフォルムが美しく見え、手に取りやすいようになっている(写真:筆者撮影)
作品の思い出を語るナデージュさん(写真:筆者撮影)

今回の日本旅では10日間をかけて福岡、唐津(佐賀)、広島、京都、山中湖(山梨)、鎌倉に小田原(神奈川)を回った。小田原では鈴木隆さんの窯元を見学し、いくつか作品を購入。

「鈴木隆さんの陶器は、黒い土を使ってシンプルに作陶されていました。そこに重ねられた釉薬がまるで鱗のように美しくて……。黒い土と釉薬が軽やかに重なり、深く調和しているところに惹かれました」とナデージュさんは語る。

小田原在住の日本人陶芸家の作品(写真:筆者撮影)

ナデージュさん夫妻のテーブルに置かれていたその器は、まるで海の底に沈む化石のようだと筆者は思った。波紋のような繊細な模様に、化石のような年月を思わせるひび割れ、微妙なニュアンスのある色合い。それは陶芸家の美意識と、作陶する土地の風土が見事に調和したような作品だった。

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