スマートフォンのカメラは「性能」から「感性」へ。ライカ、ハッセルブラッド、そしてリコーGRまで参戦。カメラ老舗と組む狙い

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そして本質的なメリットも別にある。レンズ設計や色再現などカメラメーカーが長年の歴史の中で積み上げてきた絵作りのノウハウを取り込める点だ。スマートフォンは登場からまだ20年ほどの若い産業であり、デジタル処理には強くても、フィルム時代から続くアナログ的な質感や“人間の感覚”に根ざした画作りの蓄積では老舗カメラメーカーに一日の長がある。協業によってスマホ単体では生み出しにくい画質や写真の個性を手に入れることで、スペック上では表現できない新たな撮影体験を提供できるのだ。

日本のカメラがスマホを変える

このように、カメラメーカーとスマートフォンメーカーの協業は今後もさらに広がっていくと考えられる。いずれは日本のキヤノンやニコンも、何らかの形でスマートフォン市場に関わってくる可能性は十分にあるだろう。実はソニーはすでに、自社のカメラ「αシリーズ」とスマートフォン「Xperiaシリーズ」を密接に連携させている。ただしソニーのスマートフォンはグローバル市場でのシェアが限られており、その強みを十分に発揮しきれていないのが惜しいところだ。

なお現時点でこうした動きが活発なのはAndroid陣営のメーカーだ。一方アップルは自社ブランドの一貫性を重視しており、iPhoneのカメラ機能に他社カメラブランドの名前を冠することは当面ないだろう。

ただしライカはiPhone向けのカメラアプリを提供し、さらにライカブランドのiPhoneケースやカメラグリップも展開している。アップルがカメラ機能をどれだけ磨き上げても、“ライカ”という長い歴史と物語を背負ったアプリやアクセサリーは、写真好きのユーザーのみならず、スマートフォンでより良い写真を撮りたいと思うユーザーたちに特別な魅力を放ち続け、独自の支持を集めていくはずだ。キヤノンやニコンがiPhone向けにカメラアプリを出す、という動きも十分考えられる。

ライカのiPhone用カメラグリップ
ライカのiPhone用カメラグリップ(写真:筆者撮影)

スマートフォンを選ぶ際、これまでは画素数やレンズ数といったカメラスペックを重視してきた人も多い。だが今後カメラメーカーとの協業が進めば「どのメーカーのカメラ哲学を取り入れている端末か」といった“絵作り”の観点からスマートフォンを選ぶ動きが出てきても不思議ではない。世界のカメラ市場の上位はいまも日本メーカーがほとんどを占めている。そうしたカメラブランドがスマートフォンとどのように関わっていくかによって、将来はスマートフォン選びの基準そのものが大きく変わっていくかもしれない。

山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト

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やまね やすひろ / Yasuhiro Yamane

香港在住。石油化学企業の製造・研究・国際貿易業務を経てからフリーのジャーナリストに転身。中国および海外のスマートフォンや通信事情に精通。取材範囲は自動車、スマートシティー、インダストリー4.0、リテール、デザイン、材料まで幅広い。年の大半を海外市場の市場調査および海外展示会・発表会取材に当てており、脚で稼いだ情報を武器とする。大手IT系メディアに定期的に記事を執筆するほか、海外通信事情などの講演も積極的に行う。

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