「大坂なおみとは何が違った?」アメリカ生まれの"モデル金メダリスト"アイリーン・グー、中国に国籍変更で非難殺到したワケ

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グーがこうした期待どおりの型に収まることを拒んだとき、彼女はアメリカ人が信じる「愛国心」のあり方に一石を投じる形となった。メディアが彼女の市民権に執着し、「アメリカのパスポートを放棄したのか」としつこく問い続けたのは、単なる法律上の手続きが知りたかったからではない。

それは、「状況によって使い分けるようなアイデンティティは認めない。どちらの国に忠誠を誓うのか、今すぐはっきりさせろ」という、アメリカ社会からの突き上げだった。

大坂なおみの例は、なぜグーへの反発がこれほどまでに激しかったのかを説明する比較対象となる。18年に大坂がアメリカではなく日本代表を選んだとき、アメリカメディアの反応は驚くほど抑制的であった。議論の焦点は、彼女のルーツやマーケティング力、そして個人の主体性に置かれていた。

この差は根本的に地政学的なものだ。日本はアメリカの同盟国である。アメリカ人にとって、同盟国への移行は「安全」だ。しかし、移行先が中国となると話は別だ。

中国を手助けすることに

中国が獲得する金メダルは、すべてアメリカのシステムの敗北とみなされる。彼女がスタンフォード大学に入学することさえ、「アメリカの教育機関がライバル国のチャンピオンを育成する手助けをしている」かのように捉えられた。

政治を除けば、グローバルなアスリートは一つの「ビジネス対象」であるという現実がある。グーは高級ブランドから中国の大手企業までブランドの顔を務めている。

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