【高市解散】減税合戦の衆議院選挙、なぜこうなった?社会保険料の引き下げ案に「姥捨て政策」批判も…"1億総被害者"時代に政治はどう在るべきか

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以下に、各政党の減税政策とポピュリズム分析を整理した(下表)。筆者は、2019年にれいわ新選組とNHKから国民を守る党が公党になった際、日本でも「反既得権益型」のポピュリズムが拡大していくだろうと予測し、国民民主党、参政党の躍進を経て実際その通りに進行した。そして、与野党を問わずウイルスのように感染していった。

(筆者作成)

“1億総被害者”の時代…ポピュリズムと「暴走」のリスク

経済状況が上向きにならず、将来の見通しも不透明な中で、孤立した人々は往々にしてネットなどを介して対立構造にのまれやすくなっている。不満のはけ口になるだけでなく、怒りや不安の発露を通じて連帯感を得られるからだ。しかも、そこでは自らを被害者として規定することが多い。

とりわけ今回の減税合戦においては、抵抗勢力は「国民の苦しみがわかっていない人々」とレッテルが貼られることになるだろう。他方で、ポピュリズムの影響力拡大のお陰で、ガソリン税減税などが実現したという教訓によって、国民はより主権者としての権利意識を強めるようになった点も否定できない。

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批判的な意味合いで使われることが多いポピュリズムだが、もちろん利点はある。これまで合理的な理由もなく野放しにされていたような旧体制の弊害などが、ポピュリズム政党の台頭によって議論の的になり、政策決定が加速することだ。既存の制度の範囲内で民主主義を活性化させていく方向性である。

だが、それは常に暴走のリスクを抱えている。全体的な政治構想を欠いたまま短期的な支持集めに終始し、民主主義の袋小路へと追い込まれていく方向性だ。社会保険料の高さに現役世代が苦しみ、被害者意識を持つ一方で、加速するインフレで年金生活が厳しくなった高齢者たちもまた、被害者意識を強めている。いわば“1億総被害者”の時代なのであり、暴走のエネルギーはすでに十分だろう。

とはいえ、いずれにしても国民生活の改善に向けた政策が不可欠なのは確かだ。ポピュリズム百花繚乱の時代を迎えた今、どのポピュリズムがよりましなのかを自分の目と耳で慎重に見定めていくほかはない。

真鍋 厚 評論家、著述家

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まなべ・あつし / Atsushi Manabe

1979年、奈良県生まれ。大阪芸術大学大学院修士課程修了。出版社に勤める傍ら評論活動を展開。 単著に『テロリスト・ワールド』(現代書館)、『不寛容という不安』(彩流社)。(写真撮影:長谷部ナオキチ)

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