そもそもポピュリズムには「人気取り型」と「反既得権益型」がある。後者は、自分たちこそが国民の代弁者とし、エリートや既成政党などを既得権益とみなす傾向を持つ。両者の関係は双子の兄弟のようなもので、必ずしも一体的ではないが、重複していることが多い。
例えば、減税を主な政策に据えると、国民受けを狙った人気取り型の要素と同時に、減税に反対する特定の政党や政治家、特定の省庁や官僚などを既得権益側として取り扱う要素を持ちうる。
加えて、後者の要素がそれとなく潜在的に利用されてしまう場合もある。政党側が抵抗勢力を名指しせずとも支持者が勝手にそれらの勢力を特定し、政策の障害となるボトルネックとみなすからだ。世代間や地域間の対立が典型的だが、特定の階層が既得権益とされるケースも起こりやすい。
新興政党の減税政策には「姥捨て」との批判も
この日本の政界を覆うポピュリズムは、若者に人気の新興政党も無縁ではない。チームみらいの公約は、社会保険料の引き下げにより「働く人の手取りを増やす」であり、国民民主党の「手取りを増やす」をそのまま流用するなど二番煎じ感を拭えない。子どもの数に応じて親の所得税率を下げる「子育て減税」の創設もあるが、年少扶養控除(16歳未満の子どもに対する扶養控除)の復活は国民民主の政策をなぞっており、特に目新しいものでもない。
党首の安野貴博氏の「高齢者の医療費を原則3割負担」発言は、減税ポピュリズムの最新例といえるだろう。X上でまるで「姥捨て」政策ではないかと、一時トレンド入りして炎上状態になった。現役世代の社会保険料負担を軽減するため、現在75歳以上は原則1割負担となっているものを、原則3割へと引き上げることを目指すものである。
給付と負担の公平性の観点から、高齢者医療の財源の一部を高齢者自身に負担してもらう発想だが、現役世代の「高齢者が優遇されている」(既得権益層である)という反感やねたみに拍車を掛けるもので、「今の利益を守ろうとする既得権者」対「未来を担う子ども・若者」という対立構造を暗に呼び込んでいるところがある。いわばシルバー民主主義との闘争である。
そもそも日本の65歳以上の高齢者の相対的貧困率は約20%(5人に1人)に達しており、OECD諸国の中でも高い水準にある。特に女性単身世帯の貧困率は4割とかなり深刻な状況になっている。このように「反既得権益型」のポピュリズムの困難は、対立構造そのものが推進力となる面があることから、いたずらに分断をあおる可能性がある。国民同士のパイの奪い合いを推し進めかねないのだ。


















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