2025年1月の記者会見でも、野田氏は、国民民主党をはじめとする減税政策を主張する動きを念頭に、「減税だけ言っていれば受けは良いが、未来世代から搾取する政治はやめるべきだ」と主張。減税で生じる財源不足を後回しにすることを「若者へのツケ回し」と厳しく批判した。
だが、これまで「財政再建」や「社会保障の安定」といった決まり文句で増税などを正当化してきた政治の旗色が急速に悪化した。国民民主党の「手取りを増やす」というスローガンに象徴される、非常に具体的な減税プランとロードマップの提示が圧倒的な支持を集めることとなったからだ。
最も効率的に支持率を稼げるコンテンツ
高市政権の高い支持率の主な要因の一つが、この「手取りを増やす」政策への理解とスピーディな意思決定であることに疑いの余地はない。各党にとってこの「民意のうねり」が「減税こそが最も効率的に支持率を稼げるコンテンツである」と学習する機会になったことは火を見るより明らかだろう。
そのため、かつては財政規律を重んじていた自民党や立憲民主党も、支持率低下の恐れも手伝って、実現するかどうかはさておき「減税アピール合戦」という土俵に上がらざるをえなくなったのである。減税ポピュリズムと揶揄されるゆえんである。
この減税路線を切り開いた立役者は、国民民主党だが、欧州では「テクノ・ポピュリズム」という呼び名で知られる政治手法と酷似しているものであった。テクノ・ポピュリズムとは、テクノクラシー(技術家政治)とポピュリズムを組み合わせた造語で、政策決定がイデオロギーや情緒的な世論ではなく、データ、統計、科学的根拠に基づいて行われる。有権者と指導者は直接的な結び付きを強めており、成果志向的である。
政治学者のクリストファー・ビッカートンらは、テクノ・ポピュリズムの指導者たちが国民の間にわだかまる「反政党感情」を糧としつつも、それを自分たちの政党政治にうまく活用していると述べる。また、「彼らがイデオロギー対立を避け、『有能な』問題解決者として自らを誇示する事実」を強調している(‘Techno-populism’ as a new party family: the case of the Five Star Movement and Podemos/Contemporary Italian Politics, Volume 10, Issue 2 (2018))。


















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