【産業天気図・自動車】自動車業界の12年度は震災、タイ洪水の影響なくなり上期、下期とも「晴れ」

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12年4月~12年9月 12年10月~13年3月

自動車業界の12年度は上期、下期とも「晴れ」が続きそうだ。

昨年日系自動車メーカーは東日本大震災、タイ洪水という2つの大災害によって減産を余儀なくされたが、12年度はその影響がなくなる。特に上期は対前年比で大幅な改善となり、国内では復活したエコカー補助金も追い風となる。

エコカー補助金は早ければ6月、遅くとも8月には予算枠を使い切るといわれている。震災やタイ洪水に伴う挽回生産も4~6月で一巡するため、業界には下期以降の失速を懸念する声もある。ただ12年度以降、日系メーカーは新車の切り替え時期に入っており、主要各社は世界シェア回復に自信を見せる。

トヨタ自動車の豊田章男社長は「今年はトヨタの商品が大きく変わる年。これまでの取り組みに手応えを感じている」と語り、今年度のトヨタ・レクサスブランドの販売台数880万台(前期比18・7%増)を計画する。この台数は決算前の市場予想より数十万台多いレベル。営業利益は1兆円(同181%増)と、昨年の中期計画で公表した「営業利益1兆円、営業利益率5%」の達成を目指す。

ホンダも今期の販売台数は過去最高の430万台(同38・3%増)を見込む。昨年末投入した「CRーV」が好調、今年投入する「アコード」などの効果もあり、同社の収益源である北米でシェア回復を期す。

最大の懸念はやはり円高だろう。12年度は1ドル80円を前提にする企業が多い。完成車メーカー8社の対ドルの感応度を合算すると、1円円高で850億円の減益要因になる。5月以降再び円高が進んでおり、超円高が定着すれば、下期以降の失速懸念が現実化する可能性もある。

(並木 厚憲=東洋経済オンライン)

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