興収10億円超えも評価は二分… ヒットメーカー・福田雄一監督の『新解釈・幕末伝』が"観客を選ぶ"背景

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一方、『ブラックナイトパレード』(22年)と『聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団』(24年)は、興収が10億円に届かなかったようだ。『アンダーニンジャ』(25年)は、製作のフジテレビのスポンサー離れ時期の大量CM露出で13億円を超えるほど興収を伸ばしたが、その内容へのSNSの声は割れていた。

それに続く今回の『新解釈・幕末伝』も、コアファンの称賛の一方、ネットニュースには辛辣な記事もある。

その背景にあるのは、福田作品の「クセの強さ」だろう。

新解釈・幕末伝
(写真:『新解釈・幕末伝』(C)2025 映画「新解釈・幕末伝」製作委員会)

前述のようにその作品性が観客を選ぶのと同時に、元ネタや企画と福田監督のクリエイティブの間には、相性の良し悪しがあるように感じられる。両者の親和性が高い作品は、時代の波に乗ったり、バズを巻き起こしたりして大ヒットになる。

その象徴的なタイトルが、かつての『勇者ヨシヒコ』や『アオイホノオ』(テレビ東京系)であり、近年の『銀魂』や『今日から俺は!!』なのだろう。これらはコアを超えてマスに響いた。抱腹絶倒した観客や視聴者は多いに違いない。

次作は福田雄一監督ブランドの真価が問われる

この先は、監督・脚本を手がける大作『SAKAMOTO DAYS』(4月29日公開)が控えている。

漫画原作の実写版になるが、コミカルな要素のあるソリッドアクション作品であり、福田監督との相性は良さそうだ。加えて、原作があることが、良い方向に福田監督のクリエイティブにリミットをかけるのではないだろうか。完全オリジナルの『新解釈』シリーズからは、そう思わせる。

『SAKAMOTO DAYS』は、『週刊少年ジャンプ』連載中の人気漫画を原作としており、その注目度はすでに高い。大ヒットが期待されるのと同時に、福田雄一監督ブランドの真価が問われる作品になるだろう。福田作品のその先の方向性を占う作品にもなるかもしれない。

福田監督が稀有なヒットメイカーであり、独自のクリエイティブでコアファンから厚い支持を受けるクリエイターであることは間違いない。作品にはさまざまな声があるが、賛否があるのも、興行の浮き沈みがあるのも当たり前のことだ。

ヒット作だけを生み出し続けるクリエイターはいない。そうしたなか、福田監督には、世間を楽しませる映画やドラマを作り続けていくことが期待される。

新解釈・幕末伝
(写真:『新解釈・幕末伝』(C)2025 映画「新解釈・幕末伝」製作委員会)
武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Yasuyuki Takei

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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