「夫は相手の立場になって考えることをしない」——レッドソックス・吉田正尚がオフに家族とカンボジアへ。妻が見た、勝負師のチャリティ精神

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
吉田選手
カンボジア滞在中のボストン・レッドソックス 吉田正尚選手(写真:本間寛 撮影)
2023年のWBCで日本を世界一に導き、メジャーリーグ挑戦初年度から首位打者争いに食い込む活躍を見せたボストン・レッドソックスの吉田正尚選手。その23年シーズン終了後、彼が選んだ渡航先は意外にもカンボジアでした。その理由は「これまで支援してきた施設を自分の目で確かめたかったから」。
小学生のころに見たドキュメンタリー『世界がもし100人の村だったら』でストリートチルドレンの現実に衝撃を受け、プロ入り4年目から継続してきたチャリティ活動。その原点を確かめる旅でした。​
カンボジアに同行したノンフィクションライター長谷川晶一氏による著書『決断ーカンボジア72時間ー』より一部を抜粋、再編集し、吉田選手の決断と人間力に迫ります。​

オフシーズンに家族でカンボジアへ

暗い部屋に一人。遠くで野犬の鳴き声が聞こえてくる。初めてのカンボジアで、精神が高ぶっていたのかもしれない。内なる高揚感が自分を包んでいるのがよく理解できた。

今回のカンボジア訪問決定について、吉田の決断にも驚いたけれど、ゆり香夫人の決断にも驚いた。

乗り換え便を待つ間、ベトナムのホーチミン空港でのことだ。僕の隣の席では、子どもたちが走り回っている姿を、夫人が見守っていた。

「小さな子どもたちを連れてカンボジアに行くことに不安はありませんでしたか?」

私の問いかけに対して、夫人は言った。

「多少の不安はあったけど、百聞は一見に如(し)かずで、夫が支援している国をこの目で見てみたい気持ちの方が大きかったですし、主人もいるので、“まぁ、何とかなるでしょ”っていう感じです(笑)」

吉田 正尚
吉田 正尚(よしだ まさたか)​ / 1993年福井県生まれ。6歳から野球を始め、敦賀気比高校では甲子園に2度出場。青山学院大学を経て2015年ドラフト1位で指名され、オリックス・バファローズに入団。2年連続首位打者(20・21年)、5年連続ベストナイン(18〜22年)、22年には球団として26年ぶりの日本一に。その後ポスティングシステムを利用しMLBボストン・レッドソックスへ移籍。日本代表として出場した国際大会は、19年WBSCプレミア12、21年東京オリンピック、23年WBCで、いずれも世界一。22年にはプロ野球界で社会貢献に尽力した選手を表彰する「ゴールデン・スピリット賞」を受賞。その際に授与された副賞100万円も「国境なき子どもたち」に寄付している(​写真:AP/アフロ)
次ページ最初は吉田選手1人で行く予定だった
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事