「夫は相手の立場になって考えることをしない」——レッドソックス・吉田正尚がオフに家族とカンボジアへ。妻が見た、勝負師のチャリティ精神

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「短いオフだからこそ、家族一緒に過ごす時間を大切にしたかったのですか?」

子どもたちの姿を目で追いながら、夫人が続ける。

「もともと、主人だけカンボジアに行くという提案をいただいていましたよね。でも、今年のオフは、家族で過ごす時間がほとんどなかったので、“できたら、家族一緒に行きたいね”と話していたんです。そして主人が、“家族も一緒に行ってもいいですか?”と聞いてみるとOKだったので、“それならば……”ということで、みんなでやってきました」

BLF(ベースボール・レジェンド・ファウンデーション、プロ野球選手のチャリティ活動をサポートするNPO団体)の岡田代表が証言する。

「当初は本人だけでカンボジアに行く予定でしたけど、吉田選手から、“家族と一緒に行ってもいいですか?”と尋ねられました。フィリピンやバングラデシュと比べれば、比較的治安はいいとは言うけれど、それでも海外のことなので、どんなトラブルが起こるかわかりません。

リスクを伴うことなので、その点も説明しました。けれども、“それでも構いません”と彼は言いました。“家族の分の航空費、宿泊費もお支払いはできません”ということも伝えました。やはり、“それでも構いません”ということなので、改めて小さなお子さんも含めた対策を考えたんです」

岡田は「対策を考えた」と言った。その対策は「危険なところには行かない」というシンプルなものだった。ゆり香夫人は言う。

「年子の2歳と3歳を連れて海外に行くというのは、いろいろな面でやっぱり危ないじゃないですか。それに、周りのスタッフの方に迷惑をかけることも心配でしたし、たくさんのリスクが伴う可能性もありました。

でも、“危ないところに行くときは、私たちはホテルで待っていればいいよね”とか、“ホテルのプールで遊べばいいよね”とか、BLFの方から具体的な案を出していただいたので、そこはスムーズに“じゃあ大丈夫か”っていう思いで行かせていただきました」

家族で行くならハワイがよかったのでは?

私は、率直な疑問をぶつけてみる。「ハワイの方がもっと快適に、もっとのんびりできたのではないですか?」

するとゆり香夫人は、何の迷いもない口調でキッパリと言った。

「私としても、ただの家族旅行というよりは、いろんな国に行って、文化も、考え方も、そして生活環境も違う人々を、自分の目で見たいと思っていました。主人も私も、ドキュメンタリー番組が好きなので、いつものような旅行よりも、そうではない文化や暮らしを見られることに興味を持ちました。

それがひょっとしたら、後に人生観を変えることになるんじゃないかという思いもありました。こういう機会がないと、なかなか開発途上国に足を踏み入れることもないと思うんです。だから、私もまた迷わず“行ってみたい”と主人に言いました」

そして彼女は、こう続けた。

「これから子どもを育てていく上でも、カンボジアという国で、過酷な環境で育っている子どももいるんだっていうことを知ることは、すごく意味があると思うんです」

そう語ると、彼女はこの旅行に込めた思いを披露する。

次ページ「実際の様子を見てみたい」とカンボジアへ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事