「もはや犯罪者集団」との声まで…100人規模の社員が関与、31億円不正受領の衝撃。プルデンシャル生命「最強の営業集団」暴走の背景
1990年代のバブル崩壊後、日本の消費者は変わりました。インターネットの普及で情報の非対称性は縮小し、乗合代理店が登場しました。保障内容と保険料のバランス、満期金や解約金の返戻率──商品そのものを吟味する消費者が増えていったのです。
この変化は、医師や経営者といった高収入層においても同じでした。むしろこうした層は情報リテラシーが高く、金融商品について詳しく調べる傾向があります。担当者との人間関係だけでなく、商品の合理性を求める顧客が増えてきたのです。
商品で選ばれにくい。でも契約を取らなければ収入はゼロ。フルコミッションという報酬体系が、営業を強引にさせる──このプロセスは容易に想像できます。さらに「会社の商品では顧客を満足させられないなら、自分が特別なスキーム(裏メニュー)で資産を増やしてあげよう」と一部のLPは一線を越えてしまったのではないでしょうか。
さらに、彼らには徹底したロープレで培った「人を信じ込ませる力」がありました。
本来、LPは会社と顧客をつなぐ窓口ですが、プルデンシャルの個人のブランド化という方向性が、LPを一人の独立した金融機関のように錯覚させてしまったのかもしれません。顧客側も、「最強のプロである〇〇さん個人」を信じ切っていたため、会社を通さない直接の金銭授受に疑問を持たなかったのでしょう。
問われる管理体制とガバナンス
しかし、この問題を個々のLPの倫理観や、ビジネスモデルだけに帰すことはできません。30年以上にわたって100人規模の不正が続いていたという事実は、会社の管理体制とガバナンスの機能不全も示しています。
プルデンシャル生命は再発防止策として、LPの営業活動を把握するシステムの整備や、教育・研修の強化を表明しています。しかし本質的な問題は、LPに顧客対応を丸投げし、個人に情報と権限が集中する構造を放置してきたことにあるのではないでしょうか。
属人的な営業モデルを維持するなら、それに見合った管理体制が必要でした。活動の自由をLPに与えるのであれば、定期的な顧客ヒアリング、取引内容の透明化、第三者によるチェック機能といった仕組みを構築すべきだったのではないでしょうか。
プルデンシャル生命の事件は、一社だけの不祥事ではなく、日本における対面営業のあり方そのものに再考を迫っています。
日本の大手生保が築いた信頼関係も、プルデンシャルが磨き上げたプルゴリ的な熱量も、どちらも人への信頼を大切にする日本らしい素晴らしい文化です。しかし、情報が民主化された現代において、その信頼は商品そのものの合理性という裏付けがあって初めて健全に成立します。
「あなただから任せる」という言葉は、本来、最高の称賛です。しかし、その言葉に甘え、商品競争力や透明性から目を背けてしまえば、信頼は盲信へと変わり、不祥事の温床となります。
金融庁が推進する「顧客本位の業務運営」は、まさにこの構造的課題への対応です。商品の透明性、手数料の明示、顧客利益の優先──これらは理念ではなく、ビジネスモデルの根本的な転換を意味します。
顧客の人生を預かる生命保険会社に求められるのは、営業力だけではありません。顧客を守るための強固な管理体制をいかに整備するかが、プルデンシャル生命の再生への第一歩ではないでしょうか。
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