氏真は、いわば老舗の大企業を倒産させたダメ経営者ともいうべき存在だ。ドラマでも散々な描かれ方をされることが多い。
だが、実際の氏真は、領民の不満や要望に向き合い、一つひとつ、地道に解決しようとしていた。また、掛川城を明け渡す際には、家臣の助命を引き換えにしている。有事でなければ、心優しきリーダーとして、皆に慕われた可能性も高い。
氏真は、優秀なリーダーとまではいえなかったかもしれない。だが、信玄や信長、家康と、強大なリーダーに囲まれるなかで、明らかに衰退していく組織を任された点は、やや情状酌量の余地があるように思うが、いかがだろうか。
今川氏真の充実したセカンドライフ
今川家が没落したのち、武田、北条といった名門がことごとく滅び、豊臣秀吉が天下統一を果たす。
秀吉を支え続けた弟の秀長だったが、天下統一の仕上げとなった小田原への北条征伐に、秀長は参加していない。病に伏せて病状が悪化していたからだ。
それでもついに小田原城が落城すると、関東から帰陣する秀吉を迎えるべく、秀長は上洛している。だが、豊臣家の栄華もまた長くは続かない。
そんな栄枯盛衰を見続けた男がいた。今川氏真である。
戦国大名として今川家が没落したのち、氏真は紆余曲折を経て、京都へ移住。公家文化の中で歌人・文化人として活躍し、慶長19年12月28日(1615年1月27日)まで生きた。時代の目撃者といってよいだろう。享年77だった。
【参考文献】
大石泰史『今川氏滅亡』(角川選書)
日本史史料研究会監修、大石泰史編『今川氏研究の最前線』(歴史新書y)
杉山博編『多聞院日記索引』(角川書店)
竹内理三編『史料大成多聞院日記〈全5巻〉』(臨川書店)
太田牛一著、中川太古訳『現代語訳 信長公記』(新人物文庫)
河内将芳著『図説 豊臣秀長 秀吉政権を支えた天下の柱石』(戎光祥出版)
柴裕之編『豊臣秀長 シリーズ・織豊大名の研究』(戎光祥出版)
新人物往来社編『豊臣秀長のすべて』(新人物往来社)
真山知幸著『企業として見た戦国大名』(彩図社)
真山知幸著『戦国最高のNo.2 豊臣秀長の人生と絆』(日本能率協会マネジメントセンター)
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