19歳でショパコン制した"天才ピアニスト"。だが、その後「足首の大手術」など試練に見舞われ…《スタニスラフ・ブーニン》の波瀾万丈な人生

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世界的なピアニストとして高い評価を受けてきたブーニンの人生が暗転し始めたのは13年10月のこと。左手に違和感を覚えたブーニンは、その後のコンサートの予定をすべてキャンセル。演奏活動を休止することとなったが、事態は想像以上に深刻で、その活動休止期間は実に9年にわたった。

活動休止当初のことをブーニンは「突然、左手が麻痺してしまったのです」と振り返る。右手で旋律を奏でている時に、左手をまったく動かせないということは、ダイナミックな演奏を持ち味とする彼にとって致命的なことだった。

医師の診断は、左肩の「石灰沈着性腱板炎」。これは肩関節にある腱板という組織に石灰の塊ができて、炎症や痛みを引き起こす疾患で、演奏のために身体を酷使しすぎたことも原因となった。

当時、ブーニンは47歳。それまでおよそ30年近くにわたって世界各国での演奏活動を続けてきたが、コンディション不良によるキャンセルはこの時が初めてだった。

ブーニン
舞台に戻るために、想像を絶する困難を乗り越え、奮闘するブーニン(写真:Ⓒ2026「ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生」製作委員会)

骨折をきっかけに左足が壊死

ピアノを弾くことができない日々は、彼の中の気力を少しずつ奪っていった。そしてそんな彼に追い打ちをかけるかのように、最愛の母との永遠の別れが訪れ、彼の心は沈んでしまう。

だがそんな彼への試練はまだ続く。活動を休止してから5年目となった18年。東京の自宅で転倒してしまったブーニンは、左足首を骨折してしまったのだ。すぐさま骨折部分にメタルを入れて固定するという治療が施されたが、そのメタルにアレルギー反応が出てしまい、炎症が起きてしまった。

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