日本銀行の独立性確保は、通貨価値の安定の要

これに対し、日銀法改正論者からよく持ち出されるのが、「中央銀行の独立性」とは「(政策)手段の独立性」であって「目的の独立性」ではないという議論だ。日銀の金融政策が国民と国家のために存在しているのは当然だが、政策の「目的」と「手段」とは、そう截然と分けられるものではない。

そもそも、中央銀行に高い独立性を付与しているのは、通貨価値の安定という政策目的を中央銀行に、一方、経済成長や景気浮揚という政策目的を政府に分担させ、それぞれ行き過ぎの弊害がないようにするという制度設計思想があるからだ。これは、たとえば司法を行政から独立させているのと同じ構図である。

いずれにせよ、中央銀行の最大の使命が通貨価値の安定(インフレとの戦い)であることは、多くの歴史上の教訓を踏まえての結果である。

たとえば、第1次世界大戦後のドイツ。当時、ドイツの中央銀行だったライヒスバンクは政府からの独立性が高く、総裁は終身制であり、政府にも国会(ライヒスターク)にも総裁罷免権はなかった。ところが、ライヒスバンクは、企業の手形割引を濫発して不換紙幣(パピエルマルク)を大増発した結果、貨幣価値が1兆分の1にまで下落するハイパーインフレを発生させてしまった。戦後、ドイツの中央銀行ブンデスバンクがインフレ抑止のために極めて厳格な姿勢を採り続けてきたのは、こうした惨憺(さんたん)たる歴史的失敗の経験を踏まえているからだ。

インフレ目標論は有害無益

さて、日銀法改正を企図する国会議員たちを理論的にオルグしたのが“リフレ派”と呼ばれる学者たち。だが、彼らの主張の核心にあるインフレ目標論には根本的難点がある。

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