日本銀行の独立性確保は、通貨価値の安定の要
最大の使命は通貨価値の安定
世界を見渡せば、先進国の中央銀行にはいずれも高い独立性が付与されている。だが、日銀に現在のような独立性が与えられたのは意外に新しく1997年のこと。旧日銀法は第2次世界大戦中の42年に成立した法律で、日銀は「1940年体制」(野口悠紀雄氏)の一環として、政府の強い監督の下に置かれていた。
中央銀行に独立性を与える最大の理由は、中央銀行には通貨価値を守るという大きな使命があるからだ。
一方、政治家には、選挙民へのアピール材料として、景気刺激のための金融緩和と財政支出の拡大を望む傾向が一般的にある。
財政当局も、不況時においては景気対策としての財政支出の拡大を抑えるために、代償的手段として金融緩和を望む傾向がある。さらに現在の日本のように、公的セクターの累積債務残高が莫大な規模に膨れ上がっている場合、財政当局には、債務残高を実質的に縮小させる手段としてインフレを望む動機が存在する。
すなわち、通貨価値下落への誘惑や中央銀行に干渉する動機が、立法(政治家)にも、行政(政治家と官僚)にも存在しているのである。
そもそも、重要な公的機関である中央銀行が行政権から切り離され、株式会社(日銀の場合は認可法人)などの民間団体の形態を取っている事実こそ、まさに中央銀行の独立性の重要性を物語っている。