日本銀行の独立性確保は、通貨価値の安定の要
通貨価値の安定を守る最後の砦である日本銀行の独立性に危険信号が灯っている。
野党第一党の自由民主党は、4月4日の財務金融部会で日銀法改正について検討した。政局の混乱もあって議論は中断されているが、この流れは現在も途切れてはいない。
また、みんなの党は、4月10日に日銀法改正案を提出した。
一方与党民主党は、公式には「日銀法改正は不要」という立場だが、小沢鋭仁・元環境相、馬淵澄夫・元国土交通相など有力議員の中に改正を目指す動きがあり、4月19日に試案が発表されている。
改正案の要点は共通している。
それは、第一に、日銀に対して政府がインフレの目標値を命令できるようにすることである。第二に、日銀が命令に従わないか、インフレ目標が達成されない場合、命令違反あるいは努力不足として、政府が日銀の責任を追及することを可能とさせ、さらに、総裁や役員を解任する権限を政府に与えることである。
これは、日銀の独立性にとって非常に大きな脅威だ。最近こうした政治状況を象徴する出来事があった。
4月4日に任期切れとなる中村清次日銀審議委員の後任を決める政府人事案が、国会で否決されたのである。後任に指名されていたのはBNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏。この人事案に自民党、公明党、みんなの党などが反対した。理由は、河野氏がこれらの政党から“日銀寄り”と見られたため。結局この人事案は参議院で否決された。
ではなぜ、日銀の独立性が必要なのだろうか。