金融専攻の卒業生に私が送るメッセージ--ロバート・J・シラー 米イェール大学経済学部教授
ここで頭に浮かぶのは、19世紀の英国と欧州であった貯蓄銀行運動と、20世紀のバングラデシュでグラミン銀行が始めたマイクロファイナンス運動だ。今日、最善の道は、金融とコミュニケーションの最新技術を使って、優れた金融サービスを取りそろえて下位中産階級と貧困層に提供することだ。
住宅ローン業界に進む卒業生は、内容は異なるが、同じように極めて重要な課題に直面している。すなわち、今日、数百万人の人々をローン漬けにしたような経済混乱を住宅所有者がもっとうまく乗り越える助けとなる、より柔軟な新型ローンを開発することである。
若い投資銀行家たちには、革新的な小規模の新ビジネスの成長に拍車をかけるため、クラウドファンディングのウェブサイトで具現化されているような、ベンチャーへの参加型出資方式を考案するというすばらしい機会がある。
一方、保険のプロの新人たちには、普通の人々が心配している本当に重要なリスク、すなわち雇用や生計、住宅の価値などにかかわるリスクをヘッジする新たな方法を考案する機会がたくさんある。
金融業界で得られる真の報酬とは何か
投資銀行や証券会社以外に、現代の金融には公的あるいは政府の次元があり、そこでも改革が不可欠だ。健全で社会に役立つ金融部門を実現するための規則作りが今ほど重要だったことはない。金融の法的インフラを分析し、金融が社会にとって最大の成果を生むように金融業界を規制するため、立法および行政機関で新卒者たちが求められている。