麻生要一×入山章栄が語る「日本で新規事業が大きくならない"経営の罠"」
入山:コーポレートガバナンスは非常に大事。今、社外取締役が増えてきて、そこまではいいのですが、自分のことを棚に上げますが、問題は取締役の質なんです。社外取締役は経営を理解しないといけないのですが、はっきり言うと、ある意味ファッションでやろうとしている人も最近はいる印象です。
経営を理解していないのに、形だけの肩書として声がかかるわけです。「どうせ、そんな大層なことは言わないだろう」と執行役員からなめられている。それでは意味がありません。
そうではなくて、社外取締役には本当に社長を見抜ける能力が必要です。それには社長を見抜く能力、目利き力と、場合によっては社長をクビにできる胆力と気合が必要なんです。
もっと言うと、社外取締役は、報酬がそれほど高くないほうがいいんです。なぜかというと、報酬が欲しいがために、社長に忖度して言わなければならないことを言わなくなるんです。でも報酬が安ければ、別に収入がなくなってもそれほど困らないから、言いたいことが言えるんです。
社外取締役の仕事の本質は?
入山:社外取締役の仕事は、もちろん監視・監督も重要ですが、もう一つの本質は、会社をイノベーティブにするために応援することだと思っています。
例えば私が取締役を務める企業があります。すごく面白い社長がいる会社です。ある意味ファミリービジネスですが、トップが長期で務めているので、これはもしかしたら面白いかもしれないと思いました。
事業環境は厳しいので、何年か前から「取締役会の合宿をやりましょう」と言い続けていました。でも当初はピンと来ない方もいた。でもあるとき、ついに提案が通って、合宿をやることになったんです。
1泊2日でオフサイトの合宿を行いました。私は企画担当者にお願いして、合宿初日のオープニングで、今後30年のその会社の売上予測を出してくれと頼んだんです。そうすると、その予測では途中からバンと売り上げが下がるんです。
それをビジュアルで見せた瞬間に、みんなざわつくわけです。「うちの会社は今後あぶなくなるかもしれない」という話になるわけです。
そこから2日かけて徹底的に「これから新規事業をやるんだ」という話をして、方向性が決まっていきました。「責任者まで決めましょう」と言って、ここで責任者を決めて、社長にお願いしたら「やります」と言ってくれました。
それで始めたまったく新しい新規事業に今、取り組んでいるんです。チームの中から非常に優秀な担当者が出てきて、かなり有望なプロジェクトになっています。
もちろんこれは私の手柄というわけでなく、社長や他の取締役や執行役員、現場のみなさんの貢献です。でも、こういう長期の議論をして決める、という意思決定のきっかけを社外取締役が作ることも重要、という一例です。

















