――片や中国の場合、「国策とベンチャー精神の掛け合わせ」が技術力向上を促進し、経済成長を導いたと本に書かれていますが、何がこの差を生んでしまったのでしょうか。
すごく重要な視点ですね。人の面からいうと、中国も「お上に従順な国民」が大多数で、クリエイティブな人材は極めて少数です。
ただ、中国は、その少数が何か変わったことをしようとしたときに、それができる「場」をつくっています。
意外に思われるかもしれませんが、本書でも触れたように、中国の深圳や北京などには、アメリカのシリコンバレーのような、やりたいことがある人が資金を集めて勝負できるエコシステムが整っています。こうしたイノベーション都市は各地にあり、政府も積極的に支援しています。
一方、日本社会には「出る杭を打つ」風潮が残るどころか、ますます強まっているような気がします。
政府でも企業でも、何か新しいことをやろうとすると、なんだか非常に抵抗が大きい。そうすると、これまでの枠から外れないように考え、行動する方が楽になり、結果、新しいことは何も生まれない。
こういった社会に嫌気が差して、創造性あふれる人材が海外に流れてしまうケースも少なくありません。
世界に向けて、情報を取りにいこう
――そんな日本にも希望はありますか。
今の状況を見る限り、正直、あまり明るい話はできないのですが、希望があるとすれば、やはり若い人たちです。資源の乏しい日本が勝負できるのは、結局、「人」だけです。
私のような世代からすれば、ツケをまわしてしまっているようで申し訳ない気持ちもありますが、本を書いた動機も、究極的にはそこにあります。ぜひ世界に目を向けて、その視点から今の日本を見つめてほしい。
そういう意識があれば、日ごろ入ってくる情報は断片的でも、そこから視野を広げて自ら情報を取りにいき、もっと包括的に物事を見ることができるでしょう。
今の日本が置かれている状況や、ここまでの取り組みの問題点、目指すべき方向性などについても自分なりに考えられるようになるはずです。
――まず世界を意識することこそが希望になるということですね。
そのとおりです。「日常生活では特に困ってないから今のままでいいや」ではなく、この国が抱えている問題の深刻さを知り、同時に、潜在力にも思いを巡らせ、未来について考えてみてください。
そして意見をもって選挙に行くなり、外国を訪れてみるなり、行動を起こす。こんなふうに、世界に目を向け、日本を振り返り、プロアクティブに動いていく――私の話が、そのひとつのきっかけになってくれたらと思っています。
(構成/福島結実子)
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