――自分たちが考えたところで世の中は変わらないと思っている人も多そうですが。
そんなことはありません。自分たちの声を届ける手段として、政治に関心を持ち、選挙などにも行くことです。
今は、政策論で対抗軸を打ち出せる「強い野党」がいないなど、国民の声の受け皿が十分でないという問題もあります。
でも、まず国民が主体的に政治に関わることがこうした状況を、ひいては、世の中を変えていくことにつながります。
停滞を打破するために教育が大事
――日本で生まれ育った身としては、もっと日本によくなってほしい気持ちが強いです。
それは私も本当に同感です。いろいろな国を見てきたからこそ、日本の問題の多さ、深刻さだけでなく、同時にポテンシャルの高さも感じてきました。そして、それが十分に生かされていない現状を残念に思っています。
戦後の日本を振り返ると、積極的に海外へ打って出て、輸出大国として成長した時代がありました。あの時代の日本人は本当にタフでしたね。
「国を豊かにしよう」「経済を強くしよう」という思いが非常に強くて、共通の目標が明確だったから、とにかく全力で突っ走れたのです。
ところが、ある程度、経済が成熟して新しいフェーズに入ったときに、「これから向かうべき先」と「国としての走り方」を十分に考えなかった。
政治も企業も国民も、従来の考え方や取り組みから脱却できなかった。それが90年代以降の停滞につながったのだと思います。
――ここまで続いてしまった停滞を打破するには、どうしたらいいのでしょう。
中長期的な立て直しという観点からは、何をおいても「教育」だと思います。
物事を鵜呑みにせず自分の頭で考える、自分の意見をはっきり言いつつ相手の意見にも耳を傾ける、「おかしい」と思ったら「おかしい」と言う、そして繰り返し述べてきたように、世界を知ったうえで客観的に日本を見てみる。
こうした力を養う教育が足りていないから、変化が激しく先が見えにくい世の中に対応できていない。
今の日本の教育で培われるのは「決められたことをきっちりこなす真面目さ」ばかりで、「新しいものを生み出すクリエイティビティ」も育たない。
教育は成果が表れるまでに1世代も2世代もかかるので大変ですが、とにかく、人を育てるところから立て直す必要があるでしょう。


















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