「経済成長には政治力が重要である」と本書にも書きましたが、本当は、今こそ、日本は政治の力(政策)で経済力の回復をリードすべき状況なのですが、従来と同じようなことをしているだけでは、その実現はなかなか難しいと思います。
――経済以外で言うと、今の日本にいちばん必要な政策論議は何でしょうか。
高市政権が重視している防衛力強化も重要ですが、安全保障の観点からも、それ以上に議論しなくてはいけないテーマは、エネルギーと食料だと思います。
日本の地理的条件ではエネルギーも食料も100%自給するのは現実的に難しい。だからこそ、「では、どうするか」という議論がもっと出てこなければいけないはずです。
世界はこれまでと同じように動いていない
ところが政策の優先順位としては、防衛力強化ばかりが焦点となり、それらは後ろに追いやられてしまっています。
――中学校の授業などでも「日本は食料自給率が低い、エネルギー資源に乏しい」と聞かされただけで、「じゃあ、どうするのか」については一度も学ばなかった気がします。
そうですよね。少し前までは、各国が貿易の障壁を下げて、自分たちに足りないものを互いに融通し合うという体制が成り立っていました。
そういうグローバルな仕組みが維持されている限りは、日本はエネルギーも食料も他国から調達してくればいい、となります。しかし何事も不変ではありません。
先にトランプ関税について話しましたが、今まさに国際情勢は変動しています。
その延長線上で、もし世界中でブロック経済が進んで供給網が不安定になったら、日本はエネルギーと食料をどう確保するのか。
そうなってから考え始めても遅いですし、具体的な取り組みにも時間がかかるので、喫緊の課題として真剣に議論する必要があるでしょう。
――そうしたことを考えるにも、まず世界の動向を知らなければなりませんね。
そうです。生活水準ひとつをとっても、世界を見渡してみれば右肩上がりで成長している国がたくさんあるなかで、日本だけがほぼ横ばいです。
国内だけを見ていれば「ホームレス状態の人があふれているわけでもないし、日本のどこに問題があるっていうの?」という感覚にもなりかねません。
しかし世界を見れば、かなり深刻な日本の現実が見えてきます。それは、見たくない現実です。
でも、まず「世界の中の日本の今」を直視しないと、現状の問題点や将来的に目指すべき国家像などを考え、議論する段階にも進めません。


















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