戦場では「前方」と「後方」に優劣はない…元・陸自幹部が【縁の下の力持ち】を評価すべしと説く納得感

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この図を見せたことに「刺激が強すぎる」と感じる方もいるかもしれません。けれども私は、それを恐怖を植えつける道具としてではなく、任務のリアリティを感じてもらい、隊員の思考と行動を引き出す「教材」として用いました。

これは戦争の再現ではなく、「平和を守る意味」を再確認する時間でもあったのです。

結果、予想以上の変化がありました。新しい試みに後ろ向きだったベテランの隊員が自ら検証役を買って出たり、若手が先輩から積極的に技術を学びにいったり。

強制ではなく、「状況が見えること」が中隊を動かした――そんな瞬間でした。

「状況認識」は、どんな組織にも通じる

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この考え方は、自衛隊に限らず、どんな組織にも通じます。

数字や指示だけを与えても、人は動きません。いま、何のためにこの仕事をしているのか。この行動が、誰に対して、どんな結果を生むのか。

自分の置かれている位置と、そこから見える全体の流れを理解してこそ、行動に意味が宿ります。

「考えろ」という前に、「考えられる状況」を整える。それが、チームや仲間を動かすための第一歩です。

もちろん、「命令」や「指示」は大切です。けれども現場では、誰かの判断を待っていられない場面が必ずあります。

だからこそ、日頃から「任せて動ける人」を育てる視点が必要なのです。

人は命令ではなく、「状況」が見えたときに自然と動くものです。「自分の役割」として腑に落ちた瞬間、行動は自律に変わるのです。

有薗 光代 元・陸上自衛隊幹部(三等陸佐退職)

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ありぞの みつよ / Mitsuyo Arizono

1982年大阪生まれ。芸術一家に生まれ、真言密教僧侶の弟2人という家庭で育つ。四天王寺高校卒。高校時代、特攻隊員の遺書に衝撃を受け、「平和を次世代につなぐ」と防衛大学校を目指すが二浪して不合格も諦めきれず、自衛隊の最下級である二等陸士として入隊。上官の靴磨きからキャリアをスタートさせ、エリート幹部の登竜門とされる指揮幕僚課程に一発合格。日本人女性としてはじめて米陸軍工兵学校に家族を帯同して留学し、優秀な留学生に贈られる次席表彰を受賞。国連南スーダンミッションでは軍事部門司令官表彰(上位10%)および日本人初のジェンダー部門ノミネートを受けるなど、異例のスピードで抜擢と出世の機会を得る。東日本大震災、九州北部豪雨災害など合計4回の災害派遣、国連PKOに2回従事。現役の20年間で合計18回の防衛記念章を受賞。令和4年には内閣府国際平和協力本部長(内閣総理大臣)から感謝状を受賞。その原動力は米陸軍工兵学校で学んだ「どんな状況にあっても自ら考え、動き、ミッションを遂行する『セルフスターター精神』」にある。帰国後、制服組トップを補佐する統合幕僚監部に勤務中、夫の闘病を機に早期退職。退職後は、「女性・平和・安全保障(WPS)」をテーマで講演活動 を行うかたわら、築135年の古民家を再生した「門リトリートサロン」を創業 。人が自らの原点と再びつながる"人生の門出"を支援している。

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