「裏切り者がいる組織」はやはり全滅するのか? それでも生物の共生関係が絶えない納得の理由

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ヒゲナガアブラムシを含む多くのアブラムシの基本的な生活は、次のようになっています。春にホスト植物の根元の土の中で越冬した卵から「幹母」と呼ばれるメスが孵化してきます。そしてホスト植物上に移動し、師管液を吸い始めます。

やがて幹母は無性生殖で子供を産み始めます。子供はすぐに大きくなり、自らも無性生殖で子供を産むので個体数はどんどん増えていきます。秋の産性虫(オスメスが存在し、有性生殖で越冬卵を産む虫)生産まで、この無性生殖は続きます。

ちなみにアブラムシは園芸植物の害虫として有名ですが、1匹からでもすぐに増えられるこの生態が、害虫としての確固たる地位を築かせています。

そして、秋になるとオスとメスが有性生殖により越冬する卵を産み、卵は落下して植物の根元で越冬します。このサイクルが繰り返されるのです。途中で、羽の生えた飛翔型が無性生殖で出現し、分散したり、別のホスト植物に移動してサイクルを続ける種類もいます。

アブラムシにとってアリの随伴は不可欠

アブラムシは小さく、柔らかいゴマつぶみたいな昆虫で、一部の種類を除いて防御のための攻撃的性質などはありません。しかもアミノ酸や糖を多く含んでいるので肉食昆虫に好まれ、テントウムシ、カゲロウ、ヒラタアブの幼虫などアブラムシを食べる天敵は数多くいます。

私自身のデータでも、アリに随伴されるヨモギヒゲナガアブラムシは、アリが来られないようにすると、ほんの2~3日で全滅します。ですから、アブラムシが秋の産性虫の生産まで生き延びるためにはアリの随伴は不可欠です。

それゆえアリに依存するアブラムシは、アリが随伴しなくなる事態を避けるため、甘露中に自分で合成したアミノ酸を加えても(関係維持のコスト)、アリのアブラムシに対する依存性を上げているのでしょう。

アリからみれば、アブラムシは良い餌資源ですが、それ以上のものではありません。生存にアリが必要なアブラムシは、アリより大きなコストをかけてもアリとの関係を維持する必要があります。

次ページアリもコストを払うが、それを上回る利益を得ている
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