ノーベル賞学者が警告する「日本で博士課程修了者が減っている」真因、企業が"高度な知"を使いこなせない残念な実態

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まず、大学側においては、博士課程の学生に対して十分な奨学金を用意し、少なくとも授業料は免除すべきである。そして、そのような支援を大学が自律的に行えるよう、国による抜本的な財政的支援が必要である。

次に、社会の受け皿、とりわけ企業の文化を決定的に変えなければならない。アメリカや欧州においては、博士学位は就職時の初任給に反映されるのみならず、その後の昇進においても明らかに優遇される。何より、博士学位を持つ人の能力をうまく活用する現場の仕組みが存在している。

残念ながら、現在の日本においては、博士課程のような高度な研究・教育を受けた有能な人材を使いこなす仕組みができていない。

社会の側は、深い知識のみならず、問題を掘り出し、解決に向けた道筋を探る能力を持った博士課程修了者を、さまざまな分野で積極的に活用していくことが重要である。これにより、社会が抱える問題の本質が明らかになり、それを解決していくという姿勢が生まれることで、社会は大きく動いていくはずだ。

日本社会全体が抱える極めて重要な課題

こうした博士課程修了者の活躍の場は、民間企業にとどまらない。いわゆるお役所や銀行などの金融業界へも大幅に広がるべきである。中央官庁のみならず、地方の現場でも新しい問題が次々と起こっており、既存の方法のやり繰りだけでは解決できない局面が多々ある。こうした場でこそ、博士号を持つ人材はその力を十二分に発揮するであろう。

社会の中での実践的な経験値のみを評価するのではなく、高レベルの教育を生かせる職場環境を構築していかなければならない。これは日本社会全体が抱える極めて重要な課題である。

この課題を克服し、高度な知を尊重する社会へと変革することによって初めて、日本はこれからの厳しい国際競争に生き残る国として、再び名乗りを上げることができるはずである。

本庶 佑 京都大学高等研究院特別教授

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ほんじょ たすく / Tasuku Honjo

1942年生まれ。医学博士。専門は分子免疫学。京都大学高等研究院特別教授、同大学がん免疫総合研究センター(CCII)センター長。2018年ノーベル生理学・医学賞受賞。

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