ノーベル賞学者が警告する「日本で博士課程修了者が減っている」真因、企業が"高度な知"を使いこなせない残念な実態

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私の知る限り、ヨーロッパでは博士課程の学費はほぼ無料である。アメリカにおいても、大学がまとめて奨学金を獲得し、入学試験合格者に対しては学費をとっていない。

これに対し、日本では生活費はもとより、国立大学で年間約80万円から100万円程度の授業料が必要となる。一人暮らしの生活費を含めれば、年間で最低200万円が必要となる。これらをローン(貸与型奨学金)で補えば、将来負うべき経済的負担は相当なものとなる。若者にとって、これはあまりに大きなリスクである。

第2の要因は、博士号の取得がどのような「効用」をもたらすかという点である。就職に有利になる、あるいは将来的に重要な地位が得られるといった即物的なインセンティブが本来は必要だが、残念ながら日本の企業において、博士課程修了者を十分に活用する仕組みは整っていない。

むしろ、企業側が博士課程修了者を敬遠する風潮すらある。企業側の言い分としては、「修士課程修了者は柔軟性が高く扱いやすい一方、博士課程修了者は専門分野に凝り固まっていて応用力に欠ける」という見方が存在し、その結果、博士人材の採用を控える傾向があるのだ。

国と企業に求められる行動変容

さらに、2008年のリーマンショック以降、多くの日本企業は社内の研究所を縮小、あるいは解体してきた。この方針は、経済産業省が推進した「オープンイノベーション」という政策のもとで進められた。

だが、その実態は、自前で新たなシーズを創出することを放棄し、つねにアメリカなど諸外国による技術の「二番煎じ」ばかりを追求するものだったと言わざるをえない。その結果、企業にとって研究所自体の必要性が低下し、高度な研究能力を持つ人材の価値も軽視されるようになったのである。

以上の考察を踏まえ、私は以下の2点を提案したい。

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