2026年は日本経済「没落か再生か」運命の分岐点、政治家は人気取りのバラマキを捨て《供給改革》を断行せよ

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国会議事堂
2026年は、日本経済が停滞を続けるのか、それとも供給力主導の成長経路へと踏み出すのか。政治家たちの覚悟が問われる年となりそうだ(写真:まちゃー/PIXTA)
2026年の日本経済の最大の課題は、インフレを克服しつつ持続的成長を実現することだ。いま日本が直面するインフレは人手不足などに起因するコストプッシュ型のものであり、減税や給付金では解決しない。必要なのは供給制約の緩和と生産性の向上である。
その中核はAI(人工知能)人材の育成と大学改革であり、労働移動を円滑化する制度改革だ。補助金中心の需要喚起策から脱却し、人材育成と研究開発を中心とする成長基盤投資に転換できるかどうかが今年の課題となる。これを実現できるか否かは、政治家がどの程度の期間を考慮するかという「時間軸」に依存している――。野口悠紀雄氏による連載第163回。

インフレ克服に必要なのは減税策や給付金ではない

22年以降に顕在化した物価上昇は経済の好循環を実現しなかった。現実には、実質賃金の低下が長期化し、家計の購買力を損ない、経済全体の活力を奪う結果となった。とりわけ、低・中所得層ほど物価上昇の影響を強く受け、消費の抑制が広範に生じた点は重大だ。

この経験が示しているのは、「需要を刺激すれば経済が成長する」という従来型の発想が現在の日本経済には当てはまらないという事実だ。少子化による人口減少と高齢化が進行し、労働供給が制約される日本経済の現状では、需要を拡大しても物価が上昇するだけで、実質的な生産拡大にはつながらない。

インフレ克服のために最も重要なのは、政府が繰り返し打ち出してきた減税策や給付金ではない。これらは短期的には家計の負担感を和らげる効果を持つかもしれない。だが、供給能力が制約されたままでは、最終的に物価を押し上げる方向に働く。その結果、財政支出がインフレを助長するという事態が生じうる。

日本経済が現在直面するインフレは、人手不足や物流制約などに起因する「コストプッシュ型インフレ」だ。そして、賃金の引き上げが生産性の上昇ではなく、賃上げ分を売り上げに転嫁することによって行われてきたことが、物価上昇を持続させる要因となった。

したがって、インフレを抑制するためには供給制約を緩和し、生産性を高める以外に道はない。つまり「サプライサイド」の政策が必要だ。

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