関連ブランドの売上は「150億円以上」ジャンボ尾崎さん(享年78)が遺したビジネスでの功績――企業を動かし、産業を育てた稀有なアスリート
当時、ボールの主流は糸巻ボールで、スピンが多く曲がりやすく飛距離にも課題があった。そんななかで尾崎さんが使い始めたのが、93年にブリヂストンスポーツが開発したソリッドボール(合成ゴムを使用したもの) だった。94年から5年連続の賞金王になったことで、日本では糸巻ボールからソリッドボールへと、一気にボールの構造が変わった。
メーカーからすると、尾崎さんが選び、使ったギアやボールはもはや「広告」ではなく、「証明」だった。これほど説得力のあるマーケティングはなかった。
尾崎さんが使用するゴルフクラブやボール、キャディーバッグ、ゴルフウエア、シューズは、ジャンボを表す「J’s」ブランドとして拡大し、このブランドだけでブリヂストンスポーツは150億円以上を売り上げた。
産業を育てた希有なアスリート
アメリカツアーで活躍を見せる松山英樹は、尾崎さんの訃報に際し、「日本のゴルフ界の発展に多大なるご尽力をされてきたことに、心より敬意を表します。私自身をはじめとする若い世代が、 これからの日本ゴルフ界を次の世代へと繋ぎ、さらに盛り上げていける存在でありたいと、改めて強く思いました」 とコメントした。
その言葉は決して儀礼的なものではない。もしジャンボ尾崎が存在しなかったら、 男子ツアーの賞金規模、トーナメント数、ゴルフギア市場の成長スピードなどが、まったく違う姿になっていただろう。
尾崎さんは、勝利によって人を集め、企業を動かし、産業を育てた稀有なアスリートだった。
彼が築いた黄金期は過去の栄光ではない。それは日本のゴルフが再び成長するための設計図として、欠かせないものであろう。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
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