「サザエさんの年金」ってどうだったんだろう?/戦後に激変した性別の役割、家族のあり方、働き方と年金の現在地

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しかし今は、公私にわたり、いろんなところで急速に男女平等が進んできた。この2つの写真は、私が今年に入って書いた年金記事に載っている写真である。

とても気に入っていて、夫婦2人でニコニコと料理をしていたり、男性が抱っこしている赤ちゃんに、お母さんがバイバーイ、行ってきまーすと話しかけていたりと、先の1985年時の経済界トップの人たちからみれば、信じられないような光景が、今の若い人たちの日常になってきている。

戦後80年で「高齢者」も激変した

加えて、日本人は年齢の割には元気になっている。

手塚治虫さんが1970年に描いたマンガでは、55歳で腰が曲がり60歳で杖をついていた。しかし今は違う。日本老年学会・日本老年医学会は、2017年に、日本人は若返った、だから高齢者は75歳からにしようと提案していたが、これはムリのない提案である(『「若返った日本人」雇用の質という経済界の課題』)。

今この国で重要な政策は、若返った日本人が、何もやることもなく手持ち無沙汰の毎日を過ごす人たちを包摂できるように社会の構造を転換して、みんなが社会参加できる状況を作ることである。

それは実際、徐々に進んできてもいる。そしてそうした変化が、公的年金にも影響することにもなる。

公的年金では、一般に知られている「出生率」「経済成長率」以外でも、「ライフスタイルの変化」と「日本人の若返り」という2要素も強い影響力を持っている。

そして、この2要素は、日本の年金に対してフォローの風を上空で強く吹かしている。あまりにも上空過ぎて多くの人は気づいていないようだが、その風は、他のさまざまなアゲインストの風を相殺してあまりある結果を出している。

その結果が、24年財政計算時に示された分布推計で可視化された。

このグラフでわかるように、10万円未満の低年金者の割合は出生年が後になるほど減少する。その傾向に例外となる世代はない。たとえば1974年度生まれの就職氷河期世代も低年金者の割合は前の世代よりは少ない。日本人のライフスタイルの変化が反映された年金試算では、将来のほうが明るくなるのである。

最近では、週刊プレイボーイが『「年金破綻」も「ひどい世代間格差」もウソ!?』で「年金には世代間格差があり、若い世代ほどもらえない」という誤解を実にわかりやすく説明している。

さらには、もし現在の20~30代は65歳の先まで引退をのばすとすれば、65歳時点での年金額を基にした分布推計を上回って、厚生年金加入期間が延びる可能性が高い。その分、将来の年金額は一層高くなる。

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