「サザエさんの年金」ってどうだったんだろう?/戦後に激変した性別の役割、家族のあり方、働き方と年金の現在地
『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリは、ホモ・サピエンスの歴史30万年のタイムスパンから眺めて次のように言う。
例えば、波平さんは54歳だ。1946年に福岡の『夕刊フクニチ』で始まったマンガ「サザエさん」では、当時一般的であった55歳定年制の下、波平さんは定年を1年後に控えているという設定だった。
もちろんこの間、男女間の役割見直しは進み、家庭内生産にはさまざまなイノベーションも起こっていた。

同時並行で公共政策でも、子育てや介護と仕事の両立支援策が充実していった。
電気洗濯機も、冷蔵庫も、掃除機もなく、子育ても老親の介護も家庭内でやらなければならなかった時代を生きていたサザエさんやフネさんには頭が下がる。
現在では「サザエさん」「フネさん」は少数派
そして彼女たちが生きていた時代が徐々に変わり、家庭内生産のイノベーションと子育てや介護の政策的な社会化の動きと並行して、専業主婦世帯は減少し、共働きが増えていった。2024年のデータでは、共働き世帯1300万に対し、専業主婦世帯は500万にすぎない。80年には、それぞれ614万世帯、1114万世帯と正反対の様相を呈していた。
このような変化の途上にあった85年、年金制度では第3号被保険者制度が生まれ、労働政策では男女雇用機会均等法が成立している。
当時の働く現場の様子を、プロジェクトX「女達の10年戦争 85年成立の男女雇用機会均等法」のナレーションでは、次のように伝えていた。
そういう環境の中で、男女雇用機会均等法が成立している。


















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