「サザエさんの年金」ってどうだったんだろう?/戦後に激変した性別の役割、家族のあり方、働き方と年金の現在地

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85年男女雇用機会均等法は、努力義務規定も多く、不十分なものであった。成立から12年経った97年改正(99年施行)でようやく女性差別が実質的に禁止され、そこから均等法が本格的に機能しはじめることになる。

これは学生に話をすると驚くのだが、99年4月になるまで女性は深夜業「午後10時から午前5時までの勤務」が禁止されていた。労働組合側は85年の均等法成立の際には、この女性の深夜業禁止に強いこだわりを見せていたくらいだ。

今は、学生たちは、男女かかわらず、気ままに10時以降にバイトを入れているが、99年4月1日まで女性はそれができなかった。

学生が驚く話としては次もある。保護者による保育所選択や契約が制度上明確に打ち出される以前、保育所の入所は、行政が「保育に欠けるかどうか」を判断し、行政処分として決定する措置制度として運用されていた。

「年金3号はお得だ」という通念

このように女性の働き方や育児支援が大きく変わっていく中、「年金3号はお得で不公平だ」という世の声に触れ、きっとこの制度を利用したほうが得をするのだろうと勘違いして「自発的」に3号を選択してきた人たちが仮にいたとすれば、かわいそうだと思う。

最近、東京都による衝撃的な試算が広く紹介され、多くの人たちに知られるようになってきた。3号を選択した「出産退職型」より2号(厚生年金)のままでいる「継続就労型」は、退職金を除いても生涯世帯収入で約2億円、うち年金で約3000万円多くなるという試算結果だった。

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