「今が一番若い」——生涯現役のコシノジュンコさんに聞く、日々を楽しみながら挑戦を続けるヒント

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うちわには1枚1枚、違う言葉が筆でしたためられている。「始まりがあれば終りがある」「人生には無駄がない」といった人生にまつわるもの、「失敗はチャンス」「何事にもめげない」などキャリア論に通じるものも多い。共通するのはポジティブで、前を向く力が自然に湧いてくるような言葉ばかりだということ。

「普段から、ノートに思いついた言葉を書き留めているんです。うちわを作るために考えたのではなく、日常生活の中から生まれた言葉です」

筆は普段からよく使っているという。

「強弱や表情をつけやすく、書くという行為そのものに、すでにアート性があって。スルスルっと書けるので、私にとっては得意な遊び、という感じですね」

作品を作っている、という気負いはなく、楽しくて夢中になっていたら出来上がっていたという“うちわアート”。

「あおぐために作られた実用的なうちわをアートにするって面白いでしょう。内輪の話、っていう意味合いも込めて、本のタイトルは『うちわ話』。すべてが遊び心から生まれたもの」

線を面にする強さ

うちわアートはコロナ禍以降も心の赴くままに描き続け、今では200本以上になる。

「自分が好きなものをコツコツ貯めていって、気がついた時にはそれなりに形になっている。そういうことは誰にでもよくあることだと思います。お料理好きな方が、自分でおいしいと思う料理をレシピにまとめていったら、いつの間にか料理家になっていた、みたいな、ね」

楽しくて、面白くて、夢中になって手を動かし続けたことが、やがて新しい結果を生み出していく。それは「誰にでもできることよ」と微笑む。

(撮影:谷川真紀子)

だが「楽しんでやっていると、どんどんプロフェッショナルになっていって、個性も際立っていく。やり詰める、突き詰めるってそういうこと。ブレずに集中して、一つのことを深く掘っていけば自分だけの世界ができていく。線が面になっていく」——。そうサラッと続く言葉には、やはり第一線を走り続けてきたコシノさんらしい強さが垣間見える。

結果を残すには、才能やセンス、運、出会いに恵まれるかどうかも、たしかにある。それでもコシノさんから「誰でもアーティストだし、誰でも作家。誰でも、何にでもなれるから」と言われればスッと視界がひらけていくようだ。

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