ヨーロッパの最西端「ポルトガル鉄道旅」の醍醐味 移動手段は高速バスが優勢、トラムは観光に特化

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これだけ多くの移民が就労していると、ポルトガル人の失業率が高くなって不満が出そうでもあるが、そこが日本と事情が異なる部分に感じる。ポルトガルはヨーロッパのなかでは田舎といえ、高収入を得たい人はスペイン、フランス、ドイツなどへ行くのが一般的だ。EU経済統合などでヨーロッパ内は「他国」という感覚が希薄である。日本でいえば九州出身者が東京で働くイメージである。

以前、ポーランド旅行をしたときも同じことを感じた。ベラルーシの人が多く、ポーランドの人は隣国ドイツで仕事をする。ワルシャワからベルリン行きの長距離バスはそういった人たちで混み合っていた。

スロベニアでは、オーストリアに住む人にこう言われたことがある。「長距離バスが安くて便利、利用者のガラはよくないが、かといって危険はまったくない」である。この「ガラはよくない」というのは、出稼ぎの人たちを指していると思われるが、的を射た表現だったと思うのである。

【写真をすべて見る】ドイツ製電気機関車が客車を引くインターシティは「バー車両」を連結。その車内の様子は?フランス製の「げんこつ型電気機関車」も健在。リスボンのトラム旧型車両は坂の多い街を観光客を乗せてぐいぐい登る……ポルトガルの鉄道旅の醍醐味を豊富な写真で疑似体験

長距離国際列車は消滅

長距離バスの利便性は高いが、かといってポルトガルからフランスやドイツへ行く長距離バスもない。しかし、予約は通しで可能だ。リスボンからスペインを飛び越えてフランスへ行くとしても、マドリードなどで乗り継ぐようにはなっていない。バス会社の乗り継ぎ拠点をスペイン内の高速道路上に設けている。

日本でも四国行きの高速バスが鳴門で四国各地域行きに乗り継ぐ形態を採用しているバス会社があるが、それに似た運行形態をヨーロッパ中で繰り広げているのである。

思えば筆者は29年前、マドリードからリスボン行き国際夜行列車でポルトガルの地を踏んだ。タルゴ車両の寝台車で、その頃はタルゴがポルトガルに乗り入れていた。現在は鉄道で国境越えするにはローカル列車を乗り継ぐしかなく、このような需要はLCCとバスに取って代わったのである。

この記事の画像を見る(59枚)
谷川 一巳 交通ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事