新日鉄住金を苦しめる、中国の「出血輸出」

「異常なマージン低下」が日本でも起きている

新日鉄住金の君津製鉄所。製品競争力を高め、危機を好機に変えることができるか

「中国が直面する構造調整の最大の課題は過剰生産能力。ぜひとも早急な対策をお願いしたい」

日本の産業界の訪中団団長として、11月初旬に李克強首相や中国産業界トップと会談した、宗岡正二・新日鉄住金会長はそう訴えた。

宗岡氏にとり、その言葉に込めた思いは、とりわけ強かったに違いない。中国の過剰生産能力の問題は、石油化学やセメント、造船など幅広い業種にわたるが、特に鉄鋼業は深刻で、日本にもかつてない痛撃を与えているからだ。

下方修正招いた「増産」

中国の粗鋼生産量は今世紀に入って拡大が続き、今や年間8億トン強と世界の5割を占める。生産能力は11億トンを超え、2016年にかけ一段と増える勢いだ。一方、中国国内の消費量は、景気減速で2014年から減少。2016年は6.7億トンとも予想される。生産能力との需給ギャップは4億トンを超え、数年前の3倍に広がる。

中国メーカーは稼働率を極力維持すべく、内需減退を輸出拡大でカバーしようとしている。それが日本メーカーの主要輸出先であるアジアの鋼材市況を直撃。代表的品種の熱延コイルの単価は過去1年で半値近くに崩落した。

2016年3月期の上期決算。新日鉄住金は、通期の経常利益予想を、7月時点の3700億円から2500億円(前期比45%減)へと、大きく下方修正した。その主因が売上高の4割強を占める輸出の採算悪化だ。鉄鉱石など原料価格の下落を上回る販売価格の暴落で利幅は大きく悪化。「私としても記憶にないほどの異常なマージン低下だ」と太田克彦副社長は語る。

7月時点で輸出市況は、下期から徐々に改善すると見ていた。「中国メーカーは限界利益を下回る生産をしており、長続きしないと思っていた」(太田副社長)からだ。ところが、鋼材輸出は、その後も拡大。今年は日本の粗鋼生産量に匹敵する1.1億トンに達するペースだ。

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