日本の鉄鋼業は中国の乱造にこう立ち向かう 新日鉄住金社長が語る"覇権"維持の戦略

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「日本の鉄鋼業は覇権を維持し続ける」と語る、新日鉄住金の進藤社長(撮影:大澤誠)
韓国ポスコに奪われた世界首位の奪還を目指して──。2012年10月、旧新日本製鉄と旧住友金属工業が経営統合し、新日鉄住金が発足した。それから3年、時価総額や利益率ではポスコを上回り、当初の目標は達成したといえる。
ただ、2014年には名古屋製鉄所で5回の停電・爆発事故が発生。一方で中国の過剰生産による市況低迷など、国内外で多くの問題に直面している。どう舵取りしていくのか、進藤孝生社長に聞いた。

経営統合は順調に推移している

──経営統合から3年経ったが、現在の進捗は?

当初の計画より1年前倒しで、2015年3月に統合を完了できた。製鉄所組織や商社、物流などの関係会社の経営統合を行い、加工工程や高炉などの設備集約も順調に進んでいる。

財務指標では、統合2年目の2015年3月期で累計1400億円のコスト削減を達成し、売上高経常利益率も同年度の下期には9.7%を達成した。非常に順調な進捗だと評価している。

かつて(1970年に)旧富士製鉄と旧八幡製鉄が統合したときは、労働組合の統合に3年かかったが、今回は1カ月で一緒になった。前回は国内間の競争もあり、時間がかかった。今回はグローバルの競争に向けて、社員の意識を早期に一体化できたことが大きい。

──最近は「総合力世界ナンバーワン」というキャッチフレーズを掲げている。これは何を意味するのか。

"総合力"というところがミソ。いろいろな項目があるが、まずは時価総額。企業としてはこれが最重要だ。次に自動車用鋼板や電磁鋼板といった製品の技術力。そして、コスト競争力や海外におけるプレゼンスだ。

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