ニデック創業者・永守重信氏が「本人の意向」で突然の辞任、「説明責任を果たしてもらうためにも、会社は辞任を認めるべきではなかった」との指摘も

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永守氏の辞任を発表したリリースには「本人の意向により、本日をもって 当該役職(代表取締役グローバルグループ代表など)を辞任いたしました」と記されている。「本人の意向」が太書きされている理由は、解任ではないことを強調したいためだろう。

これまで数多くの経営者を外部から招き、意にそぐわないとみるや苛烈な叱責によって退任にまで追い込んでいった永守氏だが、本人の引き際については外部からの圧力などではなく、あくまで「自らの判断」で決めたことを誇示しているかのようだ。

ニデック社員はリリースとほぼ同時刻、19日午後17時頃に社内のイントラネットの配信で永守氏の辞任を知った。ある社員は「想定はしていたが、突然のことで驚いた」と話す。

「会社は辞任を認めるべきではなかった」との指摘も

永守氏本人は会社のガバナンスのどこに問題あったと考えているのか、「不適切会計」に対してどのように向き合ったのか、リリースに記された「永年にわたり培ってきた創業精神の伝承をはじめとし、ニデックグループの永続的な価値向上に尽力」とはどのような業務なのか、筆頭株主としてこれからも隠然たる影響力を残すことはないのかーー。

2024年の記者会見での永守重信氏(写真:ブルームバーグ)

こうした疑問について永守氏が社内外に対して明確な説明責任を果たさないのだとすれば、今後のニデックの経営にも大きな禍根を残すことになりかねない。

非常勤の名誉会長としての出社頻度はどうなるのかなど、ニデックに確認したが、「今後の出社スケジュールについては答えられない」(コーポレートコミュニケーション部)とのことだった。

企業ガバナンスに詳しい青山学院大学の八田進二名誉教授は、「永守氏は第三者委員会の報告書が出ても記者会見に出てこない可能性が高い。説明責任を果たしてもらうためにも、会社は辞任を認めるべきではなかった」と指摘する。

「突然の引退」の何が問題なのか。創業者が去ったあとのニデックが直面する課題とは何か。詳報記事は【ニデック創業者・永守重信氏が「本人の意向」で代表取締役を辞任して非常勤の名誉会長へ、お別れメッセージだけの引退宣言に残された課題とは?】をご覧ください。
徳田 菜月 東洋経済 記者

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Natsuki Tokuda

電子部品業界を担当。東京大学文学部卒業、2025年東洋経済新報社入社。中学2年生まで4年間をアメリカ・デトロイトで過ごし、大学時代は硬式野球部のマネジャーとして駆け回る。緑が好きで、ガジュマルを育てようか検討中。

連絡先:natsuki-tokuda[at]toyokeizai.co.jp

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森 創一郎 東洋経済 記者

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もり そういちろう / Soichiro Mori

1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリー記者を経て2006年から北海道放送記者。2020年7月から東洋経済記者。

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